知っていると便利!外国語論文にみられる略号

20180719日(木)
 

暑い日が続いています。いかがお過ごしでしょうか?
あと半月ほどで夏休みですね。卒業論文・修士論文の研究のための論文集めは進んでいますか?研究論文を読む時には、本文を熟読するのは当然として、註や参考文献をあらためて見てみると、未知の研究に気づくこともあるかと思います。ひとつの論文を読むと、芋づる式に新たな論文や視点がみつかることもありますよね?

 

外国語の論文を読むと、日本語の論文では見かけない「略号」が出てくることがあります。私が卒業論文を書いていた時に、論文の註に“ibid.”という表記があり、「”ibid.”ってどんな本なんだろう?なんでも載っているすごい本なんだ!」なんて思っていました。今思えば恥ずかしい限りです(;_;)。以下のリストに示すように、”ibid.”とはラテン語の「前掲書」という意味の略号です。このように略号にはラテン語の略号がよく使われています。

 

そこで、皆さんご存知かもしれませんが、外国語論文に見られる主要な略号を以下に紹介します。


A

anon.

anonymous

作者不詳の、匿名の

B                                     

b. born 生まれ

Bd.

Band

C                                   

c.,©

copyright

著作権

c., ca.

circa

約、略(ラテン語)

cf.

confer (= compare)

比較、参照、参照せよ

comp.

compiler

編纂者

D                                         

d.

died

Diss.

Dissertation

学位論文

do.

ditto

同前、前述の(イタリア語)

E                                         

ed.

editor

編(集)者

eition

e.g.

exempli gratia (= for example)

enl.

enlarged

増補された

et al.

et alii, et aliae (= and others)

およびその他

etc.

et cetra (= and so on)

など

ex.

exanple, example

用例

F                                         

f., ff.

and the following pages

及びそれに続くページ

fac., facsim.

facsimile

複写、複製

fasc.

facscicle

分冊

H                                         

hb., hbk.

hardback

ハードカバー本(本装丁)

Hft.

Heft

分冊、号(ドイツ語)

Hg.

Herausgeber

編者

hrsg.

herausgegeben

出版された、編集された

I                                         

ibid.

ibi'dem

前揚誌、同誌(ラテン語)

id.

idem

同上、同書(ラテン語)

i.e.

id est

すなわち

ill., illus.

illustration

挿絵、実例、図解、図入り

inf.

infra

下に、以下に

intro., introd.

introduction

序文

L                                         

l., ll.

line (s)

l.c., loc.cit.

loco citato

上記引用文中に(ラテン語)

M                                       

mimeo, mimeogr.

mimeograph

謄写版印刷物(手稿コピー等)

m.s., mss., MS

manuscript (s)

原稿、写本、草稿

N                                         

n.d.

no date of publication

出版年不明

no.

number

n.p.

no place of publication

出版地不明

n.pag.

no pagination

頁づけなし

O                                         

op.cit.

opera citat

前掲書中に(直前ではなく以前に引用した文献を再度引用)(ラテン語)

P                                         

p., pp.

page (s)

ページ

par.

paragraph

節、段落

pat.

patent

特許

pb., pbk.

paperback

ペーパーバック本

pl.

plate

図版

plural

複数の

pref.

preface

序文、前置き、はしがき

pseudo.

pseudonym

雅号、ペンネーム

Pt., pt.

part

部、部分、分冊

pub., publ.

publisher

出版者

publication

出版物、逐次刊行物

published by

~の出版

R                                         

rev.

review, reviews

評論誌

rev.ed.

revised edition

改訂版

rpt., repn.

reprint, reprinted

重版、再版

S                                         

S.

Seite

ページ(ドイツ語)

sec., sect.

section

節、段落、欄、条(法令)

ser.

series

双書、シリーズ

[sic]

=so, thus

原文のまま(ラテン語)

s.l.

sine loco(=no place of publication)

出版地不明

s.n.

sine nomie(=without name)

出版者不明

supp.

supplement

補遺

T                                         

t., tom.

tome

、冊(フランス語)

tab.

table

リスト、目録

tr., trans.

translator, translation

訳者、翻訳

V                                         

viz.

videlicet

すなわち(ラテン語)

v., vol., vols.

volume (s)

Z                                         

Z.

Zeitschrift

雑誌(ドイツ語)

 


よかったら活用してみてください!
上記の略号は、論文注や、外国語論文の中でもよく見られます。
LALA文庫(C10)の『レポート・論文の書き方 上級 改訂版』の第2部論文の体裁 IV 略語(p.55-64)も参考にしてみて下さい。図書館で所蔵
しています(請求記号: 816/Sa47、図書ID: 015010077368)。



#後藤

修論体験談④ー研究と生活のつながり一例

20180705日(木)
いつもの癖で、スパっとまとめられずに長々と書いてしまいましたが、今回で完結といたします。
(これまでの記事はこちらからご覧ください)
修論体験談①ー不可欠だったなあと思うこと&環境面
修論体験談②ー個人の動機を突き詰める
修論体験談③-1ーなぜ「必要」なのかを考える
修論体験談③-2ー文献で「歴史」を辿る

今回お書きするのは、修士課程当時の生活全体と修論とのかかわりです。
まず申し上げないといけないのは、普通に考えたら、あまり褒められた例ではないということ。
こうしたほうがいい、という王道を示すというより、
もし王道を突き進めなかったら、こういう抜け道もありますよ、という一例としてお読みいただければ幸いです。

修論体験談①ー不可欠だったなあと思うこと&環境面
において、不可欠だった要素の三つ目として、修論に繋がる作業が、
「日常生活の中で実践でき、研究と生活が切り離されていなかったこと」
を挙げました。

■□■□■□■□
私は所属コースで扱うことがらとの「ずれ」に頭を抱えることがありました。

修士論文のテーマに選んだことがらを追究することと、所属コースのアドミッション・ポリシーには「ずれ」がある気がしていました。
なぜなら、専門ということになっている「児童文学」、その中でも特に「現代児童文学」は、一般の文芸作品とは分けて考えた方がいいのではないか?と思わざるを得ない側面を持っていたからです。

もちろん、所属コースの授業で学ぶ内容と、抱えているテーマとは、深いところで繋がっています。
ただ、一般的にイメージされる「日本文学」に属する作品に比べると、繋がっている場所を見つけるのに、とても頭を使う、エネルギーを使うなあという感じでした。授業で学ぶ「日本文学」のことがらと、テーマである「現代児童文学」のトピックを、どこでどう繋げるのか、が修士課程全体のテーマだったと言えます。

授業を受ける過程で、別の分野に出かけて、同じ分野の人と話しては、違う分野の人と話しては、テーマを抱える原因を作っているプライベートなことで、悩みっぱなしでした。
悩むことと混乱することに精力を注いでしまったため、単位は必要最低限をちょっと超えたくらいを取得するのがやっとでした。しかも、4単位は専攻外の集中講義、2単位は専攻の必修科目、2単位は他専攻の科目だったので、所属コースの科目の割合は相対的に少ないと言えます。
悩みそのものが研究の一部となりうる内容でなかったら、無事に2年間で修了はできなかったでしょう。

確かに、悩む過程でたくさん考えたことの一部は活きました。
所属コース生として求められる知識の不足分を、補えないながらも無理やり補って繕うスタイルでハッタリをきかせて乗り切れたのは、悩むことで頭のトレーニングをしたからでしょう。

ですが、知識や常識の不足は現在まで続く課題であり、逃げ切れるものではありません。
これからどう取り組んでいけばよいか、今でも気が緩むと頭の中がごちゃっとなります。
(これでいいのか、と問うほど足がすくんで動けなくなるので、あまり気にしないことにしていますが。)
■□■□■□■□
こういう修士課程生活を送った立場から言えることは、

○修士ならまだ失敗しやすいと思います
○自分の問題に取り組むツールとして研究を使っても許されやすいと思います
○だから、研究の支障となる性格面・メンタル面の欠点や懸念事項に取り組むなら今のうち!
○背伸びしすぎないで、入学時点で持っていたものをどう使い切るかって方向で考えるといいですよ!

ということでしょうか。

今回取り上げた例は、最初に書いたように褒められたものではありません。
しかし、どうしようもなくこういう生活になってしまった、ということが現実であり、そこから出発するしかないのです。
それでも、本人としては、「そこからでも出発できる」と思いたい。
そういう気持ちで一連の記事を書かせていただきました。

今回はこれで終わりです。お読みくださって本当にありがとうございました。

#みあ

調査について(その③調査のポイント)

20180625日(月)
皆さん

こんにちは。LALAのナターリアです。

今回は「調査について」の最終回になります。

ここでは主に面接(インタビュー)について書きます。具体的に、インタビューを行う時、いくつかの気をつけなければならないことがあります。

まず、調査対象者と信頼関係を作ることです。
調査対象者は参加に同意したとはいえ、必ず何でも話してくれるとは限らないのです。初対面の場合、特にインタビューされることに慣れていない人の場合、どうしても緊張感があり、答えたくないところもあるでしょう。なるべくたくさんの情報を得るために、相手をリラックスさせる雰囲気を作ることは不可欠です。

もう一つの大事なポイントは、自分で質問以外にあまり喋らないことです。インタビューの目的は対象者の意見を取り出すことですので、対象者が話しやすいように誘導質問をすることも大切です。特に、万が一、自分の意見は面接の相手の意見と一致しないようでしたら、この自分の意見を話し出すと、相手にとって威圧感を与え、信頼関係を崩し、相手の意見を得られなくなる可能性があります。

私自身はインタビュー調査を行う時、まず、「インタビューガイド」メモを使います。そして、質問を過去から現在というような一定のストーリー展開に沿うように並べ、それらの質問ごとにすべての質問がツリー状に系列化するようにします。さらに、インタビューの対象者につきメモを書きます。そこではインタビューの流れ、雰囲気、気付いたこと、思い出したこと、これから尋ねたいと思ったことをキーワードで記述し、得たデータを分析する時使うと便利です。

そして、インタビュー終了後1人になったら、フィールドノート用の調査用紙に観察情報や分析的コメントなどを書き込みます。インタビューを振り返り、インタビューでの話し方などについて修正すべき点を探し、次に対象者とする人を検討します。さらに、細かい分析ができるように、録音を聞いて完全な遂語録(録音したインタビュー内容を文字化したもの)を作成し、可能な範囲で分析を行います。

さらに、分析を行う時、対象者に約束した通り、個人情報が漏れないように、対象者の名前ではなく、コード番号をつけます。最後に、データを管理します( データは全てコード番号で管理する; 得られたデータは研究目的以外に使用しない; 研究成果は公表するが、個人を特定できる情報は公開しない; 固有名詞をイニシャルではなく、番号で表記する; 対象者から得た情報の一覧表リストはデータとは異なる場所に保管する)。

そして、私自身は「承諾書」には面接内容を対象者に送ってほしいかどうか聞いています。希望した対象者に文字化したデータを送り、もし、対象者が書き直したい部分があれば、修正し自分の研究では修正した内容を使います。

以上、調査について書いてみました。役に立てば、大変嬉しいです。そして、もし、より詳しくお話したいと思う方がいらっしゃいましたら、LALAをお越しくださいませ!

#ナターリア

調査について(その②面接の手順)

20180620日(水)
皆さん

こんにちは。LALAのナターリアです。

今回は「調査」というテーマの続きということで、よろしくお願いいたします。
(1回目は調査の方法についてアンケート調査と面接調査を簡単にご説明しました。第①はここです(調査について、①)。今日は、それらの調査の手順を紹介します。

1)調査の対象者を決めます。アンケート調査の場合、研究の枠組みで定められた具体的な基準があります。例えば、年齢、国籍、性別、家庭状況、勤務先などです。ほとんどの場合、作成したアンケートを多数の対象者に渡します。現場で調査用紙を配って渡すのか、または電子メールなどの通信システム(インターネットなど)を通じて渡すか、方法はさまざまあります。
面接(インタビュー)の場合には、同じく、基準を決めて対象者を決めます。しかし、基準や条件に当てはまりそうな人を探しにくい時もあると思います。その時、大事なのは、ランダムではなく、「有意抽出法」、つまり一定の意図のもとに行う方法を使うことです。具体的に言うと、①「スノーボール・サンプリング」、つまりインタビューに参加する対象者に他の対象者を紹介してもらう方法;②「理論的サンプリング」、つまりデータの分析結果から次の対象者を選択する方法があります。

2)調査の対象者が決まったら、まず、対象者に「研究のご協力のお願い」を渡し、同意を得る必要があります。そして、同意を得た上で、倫理調査委員会の承認を得ていることや、研究で得られた個人情報を第3者に漏らさないこと、そして得た情報を研究以外の分野で使用しないことを説明し、自分のサインを含んだ「依頼文書」を対象者に渡します。最後、対象者に調査に参加することを同意する「承諾書」をもらいます。
そして、面接では録音機器を使いたいなら、必ず()対象者の許可を得る必要があります。録画を許可することについて「承諾書」に記述し、対象からサインをもらいます。

3)面接の後、対象者に感謝の気持ちを伝えるために、お礼を渡すこともよくあります。その時現金ではなくても、たとえば、500円のスターバックスカードや図書カードなどが使えます。ちなみに、私はお礼としてロシアのお菓子を渡しました。

今回はここまでです!

#ナターリア

はじめましてのご挨拶と研究の紹介⑴ 〜「音楽学」について〜

20180618日(月)
はじめまして!
今年度より新しくLALAのメンバーに加わりました木村です。
勤務開始から早2ヶ月が経ちましたが、まだまだ手探り状態…
学生の皆さんからいただく質問を一緒に考えながら、たくさんのことを学ばせてもらっています。
皆さんにより有益な情報を提供できるように、またより皆さんの考えや思いに沿ったお答えができるように、広く深い学びを実践していきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします!

さて、今回がはじめてのLALA Tips投稿になりますが(緊張しています…汗)、
自己紹介を兼ねて私の研究についてお話ししたいと思います。

4月19日の記事にてすでにご紹介いただいていますが、私の専攻は「音楽学」です。

「音楽、学……!?」
「音楽を、”研究”するの…?」
「そもそもお茶大にそんなことやってるところがあるの?」

など、さまざまな”はてな”が浮かんでくることと思いますが…
あります、「音楽学」!お茶大に!

「音楽学」とは、英語で musicology、ドイツ語で Musikwissenschaftです。
Musik は「音楽」、Wissenschaft は「知識」といった意味ですが、
ここでわざわざドイツ語表記を挙げた理由は、まさに19世紀後半のオーストリアにおいて体系づけられていった学問だからです。
オーストリアの音楽学者グイド・アドラーGuido Adler(1855-1941)は、1884年に創刊された季刊誌『季刊音楽学』”Vierteljahrsschrift für Musikwissenschaft”において、初めて音楽学を体系的に論じました。
(”Musikwissenschaft”という語自体も、使われ始めたのは1820年代後半からです)
近代の所謂”科学的な”学問として語られるようになったのはこの頃からなので、そういう意味では比較的”新しい”学問と言えるかもしれません。

では、音楽を”学問”として考えるとき、どういった具体的項目が思い浮かぶでしょうか…
例えば、

・「音楽史」…音楽の”歴史”について研究する。
・「作品研究」…音楽の”作品”そのものを研究する。
・「音楽教育学」…音楽の”教育”について考える。

(項目の次元がバラバラですが、ひとまず分かりやすさのために。ご容赦ください)
このあたりは想像しやすいでしょうか。専門としていなくとも耳にしたことがある人は一定数いらっしゃるかもしれません。
しかし音楽の持つ様々な側面を考えるとき、もっと広がりが出てくるかと思います。例えば、

・音楽社会学
・音楽心理学
・民族音楽学
・音楽美学
・音響学

といったものが音楽学の分野・領域として存在します。
「音楽社会学」や「音楽心理学」はその名の通り、それぞれの学問領域の共通範囲に属していますし、
「民族音楽学」では、研究の対象が世界中の音楽へと広がります。
「美しい(良い)音楽とは何か」を考える「音楽美学」は、人文科学の究極とも言える「哲学」と切り離せない関係にありますし、
「音響学」は、音楽の物理的な側面に焦点を当てた、かなり”理系”寄りの領域と言えます。

ここに挙げたものはほんの一部ですが、このように音楽は、他の学問領域と結びついて様々な形・方法で研究されています。
「音楽学」の様相は、対象とする”音楽”そのものと同じく、実に多様なのです。
(その性質ゆえ、ここに挙げた分類も一例でしかありませんし、各領域の垣根もかなり低く、流動的と言えます。興味のある方は是非調べてみてください!)

では、この多様な「音楽学」を専攻として、私は具体的にどんな研究をしているのか…
次は、今までの卒論や修論での体験を交えながら、具体的な研究内容について少しお話ししたいと思います。
次回へ続きます!


#木村