音楽のイメージをアカデミックに表現する!『音楽の文章セミナー』

20191227日(金)
こんにちは!
火曜と金曜担当、音楽学専門の林です(音楽学って?という方はぜひ自己紹介記事に飛んでみてくださいね

2019年最後のブログは、音楽を扱った研究テーマの人にぜひ読んで頂きたい、この本の紹介です!


LALA文庫:B13
『音楽の文章セミナー プログラム・ノートから論文まで』
久保田慶一 [著]
音楽之友社


以前ご紹介した、LALA文庫:C14 『音楽の文章術 Writing about Music』 がどちらかと言えば修論以上の学生さん必読の内容だとすると、本書はより、卒論や初めてのレポートに臨む方にオススメです。


オススメするポイント
「何から手をつければ良い?」ゼロからの出発に心強い構成


 音楽について文章を書くということは、大学までの一般的な教育では行われていません。
 音楽の授業で経験されるようなレポートは、「感想文」であり、大学生以上に求められるアカデミックな文章とは異 なるものなのです。
 より正確に言うと、「音楽から得た自分のイメージや感情」を表すのが感想文だとすれば、「音楽そのものについて 説明する」のが、レポートや論文と言えるでしょう。

とは言え、初めて尽くしの執筆作業、どう行えば良いのか?と途方に暮れてしまいますよね。

そんな時に本書を手に取れるあなたはとてもラッキーです!

というのも、本書の構成は、


1. 音楽的リテラシーを身につける
(視点の見つけ方、情報の探し方・選び方、引用の仕方)

2. 音楽の文章表現を身につける
(主題、形式、和声、歌曲、オペラの説明の仕方)



となっています。
つまり、視点の見つけ方から、具体的な作品の説明の仕方までが時系列順に網羅されているのです。

特にありがたいのは、
「形式」や「和声」といった、音楽を専門にしてる学生なら一通り勉強はしているものの、受けてきた教育や能力によって、理解に差がある項目について、丁寧な解説があることです。



論文やレポートを書く作業において、案外もっとも時間をかけてしまうのが、「構成」や「言い回し」です。
指導の先生にはいちばん大切な「中身(自分の発想、発見など)」をじっくりみて頂くためにも、自分でクリアーにしておきたいですね!
もちろんLALAデスクへ相談にきて頂くのも、大歓迎です!!


あっと言う間に、今年も年の瀬ですね。
お正月はゆっくり体を休めて(修論提出予定のみなさま、追い込みは健康な体があってこそです!!)、また図書館でお会いしましょう

#林 #LALA文庫

忙しいけどちゃんと書きたい人のための卒論執筆伴走ガイド

20191220日(金)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。

今回は新しくLALA文庫に追加された、村上紀夫『歴史学で卒業論文を書くために』(2019、創元社)【C23】を紹介します。LALA文庫のC「レポートや論文作成など、大学での学びに関するもの【上級】」の棚のほか、請求番号207/Mu43で一般図書の棚にもあります。

歴史学のみならず広く人文科学の分野で卒業論文を執筆しようとしている人にも役立ててもらえるよう一般化を心がけた」という本書、目論見通り歴史学の人(とくに日本史の人)に参考になることが詰まっていますが、それ以外の分野の人にも一読の価値があります。

全体で13章、中間地点に近い第5章が「夏期休暇の有効活用」です。もしもあなたが学部4年生のゴールデンウィーク前にこの本に出会うことができたら、そのすべてを活かすことができます(なんという幸運!)。あるいは大学のようなフォーマルな学びの場から離れてしばらく経ってから再び学部や院で学ぼうと考え始めたタイミングで手に取れば、その覚悟を決められるでしょう。

本書の丁寧な章立てから、論文執筆にかかわる作業手順の全貌と留意しておくべきポイントは、相当分かります。といっても本書に書かれていることのほとんどは、この本を手に取る人なら授業やゼミで指導教員や先輩たちから言われた覚えのあることばかりでしょう。じつのところ論文執筆にかんするアドバイスのほとんどは、何度も聞いたり見たりするなかで(場合によっては他人に伝えたり説いたりすらしていくうちに)自分自身の学びに浸透していき、卒論や修論を執筆する時期(学年)を迎えるものかもしれません。

内容の紹介に戻ると、第3章「論文の集め方と読み方」であげられているダメなやり方は、多くの学生がやりがちなことで(わたしも覚えがあります)、耳の痛い指摘です。

「一番ダメなのは、図書館で論文をいくつもコピーして読むのが面倒だからといって、とりあえずCiNiiを使って、手っ取り早くダウンロードできるものだけを選ぶこと。」(41)



そして論文集めの段階だけでもそこそこ「面倒」だからこそ、卒論については細かなアドバイス以前に第一に「早め早めに手を付け、作業を進める」(6) べきと言われ、そんなことは誰だって分かっていることではあります。しかしなかなかそうもいかない。だから…

「もし今が夏休みを過ぎていて、卒業論文が待ったなしの状況だったとしたら、とにかく目次を見て、今あなたに必要なところを読んでほしい。後半には、卒業論文の執筆作業をするにあたって必要な項目ごとに、できるだけ具体的に、何に注意して、どうすればいいかを書いている。困っていることがあれば、何かのヒントになるかもしれない。」(7)



という励ましを本書から得たのなら、このさい真に受けてしまいましょう。

面白いのは第12章「下書きが書けたら」で挙げられているようなよくあるミスや確認すべき点が、分野が異なればあり得るミスの種類も違うのに、なぜだかどこか見覚えや聞き覚えのあるものだということ。

「なぜか毎年必ずあるのが、片仮名のニと漢数字の二の打ち間違い。(略)こういう明らかなケアレスミスは減点対象である。うっかりミスにすぎないじゃないかと思うかもしれないが、たとえば「三分ニナリ」(三〇パーセントになる)と「三分二ナリ」(三分の二である)ではまったく意味が変わってくる。こうしたミスがあると、資料をちゃんと読まれているか疑われることになる。」(193-4)



卒論や修論は(他の人のためではなく)まず自分自身のためともよく言われます。きちんと調べて考えて、真面目に書けばボツにならない文章を書く機会は、じつはかなり得難いものです。卒業論文のテーマを決め、最後の一文まで書き上げ、締め切りに間に合うように印刷・製本して提出し、審査を受けるまで——長い道のりですが、この本はそうした過程のどの段階においても心強い味方になってくれるはずです。

#ジャニス #LALA文庫 #卒論

LALA文庫紹介『哲学の道具箱』

20191210日(火)
こんにちは、LALAの小林です!

先行研究を読む際には相手の足りない部分を発見する批判的な視点が必要ですが。
でも、どんなところに注目すればいいのかよくわからなかったり、的外れな批判をしてしまったりすることもありますよね。
そんな時は、論理学の力を借りて自分や他人の論を見直してみてはいかがでしょう!

写真 2019-12-10 14 09 57

『哲学の道具箱』
著者:ジュリアン・バッジーニ/ピーター・フォスル
訳者:長滝 祥司/廣瀬 覚
[LALA文庫|F8][OPAC検索結果はコチラ]


こちらは哲学で使われる重要な概念を簡単に説明した本です。
哲学の入門として利用できるほか、自分や他人の議論を検証する際にも役に立ちます。

おすすめポイント

●議論でよく聞く用語をしっかり理解できる
「循環」「トートロジー」「論点先取」などは議論でよく聞く用語ですが、ちゃんと理解できているか怪しい…なんてことありませんか?
この本ではそうした論理学の基本的な用語が解説されているので、意味をしっかり理解して議論を正確に進めるのに役立ちます。
また、上手くいっていない論証の例が論理学の用語に従って細かく分類されているので、自分や他人の論理が間違っている原因を見つけるヒントにもなります。

●気になる項目だけ確認できる辞書形式が使いやすい

目次を見ると小難しい用語が並んでいますが、解説はそれぞれ1p~2pほどとコンパクトにまとめられているので気軽に読むことができます。
辞書のように必要なところだけ引いてちょっと読むという使い方ができるので、気分転換のパラ読みにおすすめです!
解説では関連項目も紹介されているので、内容を広げていくこともできますよ。

●重要な事例紹介で理解が広まる
身近な具体例の豊富さもさることながら、哲学史的に有名な事例が紹介されているのも大きなポイント。
具体的な論争を元に「反例」や「両刀論法と角」などの論証方法が解説されているので、哲学の入門書として役に立つのはもちろん、専門外の人も用語と論争を結びつけながら理解することができます。

とくにおすすめ👉「第三章 論証評価のツール」



タイトルに「哲学の」とありますが、ここで紹介されている議論の方法は哲学の枠を超えて広く使えるものばかりです。
とくに、既存の論の反証方法が多数紹介されている第3章は、先行研究や文献に対してどう批判を加えたら効果的か考えるヒントになると思いますよ。


LALA文庫には続々新刊が追加されています。
紹介しおりも配布中ですので、是非チェックしてみてくださいね!

小林

LALA文庫紹介 A14『 学生による学生のためのダメレポート脱出法』

20191203日(火)

こんにちは!
火曜日担当の賀数です。


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現在は修士2年で修論執筆に邁進しております。

地元沖縄県での調査を伴うため、なんと先月まで移動とデータまとめに
追われており、ふと本来の研究目的を見失いそうになっていました。

お茶大で研究する意味は、これまで素朴に抱いていた自分の疑問を、
客観的に捉え、社会の課題とリンクさせて、学術的に論じていくことにあると考えています。

実際、研究指導会で先生方からご助言をいただき足りない部分に気づくことができました。
指導教員にも励まされ、いよいよラストスパートです。何とか頑張ります(^^)


さて
本日ご紹介するLALA文庫は


 今日の一冊 

『学生による学生のための ダメレポート脱出法』
 慶應義塾大学教養研究センター 監修 慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 著 慶應義塾大学出版会 
(LALA文庫 No.A14)



おすすめポイント


①個別具体的でわかりやすい
基本的な体裁や、情報収集の仕方はもちろん、問いの深め方も対話形式で紹介されています。特におすすめの章「3ダメレポートを改稿する」(P131-148)では、2件の事例のビフォア・アフターが示されていて、完成形のレポートがイメージでき、改善点を把握しておけば効率よく書き進めることにつながると思います。


②大学の学習相談員の方の実際のお悩み相談をもとに作られている
例えば、資料検索の仕方に悩む学生は多いと思います。客観性・信頼性のある資料として新聞記事を活用する方法や、ウェブサイトの中でもPDFファイルに絞って検索するなどのアイディアも参考になります。


③レポート執筆までのスケジュール管理のノウハウも紹介
学部生は、多くの科目を履修しながら、サークルやアルバイトもこなし、レポート課題に取り組んでいるというのも少なくありません。複数あるレポートやテストの準備をどうやりくりするか時間割ウィークリースケジュールを示しながら見通しの立て方も紹介しています。



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私たちLALAデスクでは、定期的にミーティングを設け、より多くの学生さんのサポートをするためにはどうしたらよいか、アイディアを出し合っています。


また、LALA同士も連携をとっており、より求める相談に対応できるよう、場合によっては専門性に応じたLALAを紹介することもあります。その点もどうぞ、お気軽にお声がけくださいね


この本は慶應義塾大学の学生支援の実体験をもとに執筆されており、私としては、学生さんのニーズを知るきっかけになりました


自分の求めているトピックをつまみ読みするだけでも、ヒントがもらえること間違いなしです


それでは年末年始も健やかにお過ごしください

#LALA文庫 #賀数

英語のプレゼンテーション

20191125日(月)
こんにちは月曜午後を担当しております中村です
秋も次第に深まってきましたね

早いもので、2019年も残すところあと1ヶ月です。
元号が平成から令和に変わり、消費税も改まり、大きな社会変化が感じられる一年でした。
皆さまにとって今年はどんな1年だったのでしょうか?
私は初の海外での研究発表を終え、ほっとしているところです

「英語でプレゼンってどうすればいいの?!」
というところから、下記のLALA文庫を講読いたしました
自身の体験も交えて紹介させていただきます。

LALA文庫 E8
「英語のプレゼンテーション スキルアップ術」田中 真紀子


オススメポイント
人前で話すことが苦手な人への良いアドバイスがある!
0からプレゼンテーションを組み立てる時のアプローチ方法が分かる!!
よく使う英語の言い回しがたくさん載っている!!!   
良いプレゼン(スピーチ)の事例がたくさん載っている!!!!


人前で話すことが苦手だと意識している人は結構いらっしゃると思います。
そんな方へ、大変具体的なアドバイスが記載されていました。
「なぜプレゼンテーションをするのか?」という本質を突き詰めれば、緊張はしない
ということだそうです
詳しくは本書7〜11ページをご覧ください。
ポイントは、「自分を中心に考えない」ことです

私たち学生にとってはアカデミックなプレゼンテーションを行うことが多いでしょうが、
0からプレゼンテーションを考える際のテーマの選び方、構成の考え方等、
具体的にどんな準備が必要かということも丁寧に書かれています。

そして、何と言っても
豊富な事例の多さ
がこの本の魅力でしょう!

場面ごとに使える英文表現が記載されていて、一般的な使い回しを知ることができます。
あいさつの表現、自己紹介、トピックの紹介、全体の流れをどのように説明するか、
といったプレゼンテーションの冒頭でよく使われる表現や、
結論、質疑応答の答え方まで大変参考になりました。
そのまま使える言い回しが盛りだくさんです

また、著名なスピーチ・プレゼンテーションの事例が何度も引用されており、
それに対する筆者の分析から「プレゼンテーションに必要なスキル」を考えることができます。
キング牧師の演説や、スティーブ・ジョブズ氏のビジネス・プレゼンテーションを
英語本文と和訳のセットに加えてどこが秀でているのかという解説付きで読むことができます!
学びの第一歩は「真似」から。
素晴らしいと称されるもののどこが素晴らしいのかを分析し、
自分の表現に活かすことができればこの上ないですね!


全体を通して、適宜英文の例示がある中で「プレゼンテーションとは何か」を考えられる構成になっていました。


プレゼンテーションをコミュニケーションだと捉えること、
「リポート・トーク」と「ラポール・トーク」を使い分けること、
プレゼンテーションとスピーチの違いを考えることなど
英語に限らず「プレゼンテーションをする上で大事なこと」がたくさん載っていますが、

英語でのプレゼンテーションと日本語でのプレゼンテーションの違い

を知っていることも重要です!
英語圏では不必要な謙遜は通じませんし、謙虚さと自信のなさは違います。
頭を「英語脳」に切り替え、別の人格になったつもりで堂々と発表しましょう。


実際に英語での発表を終えてみて感じたことは、
余裕をもってゆっくりと話せば、大体通じているようだ
たくさん練習しておいて良かった(緊張しなかった!)
固有名詞はできるだけ使わない
情熱は言語や国、人種を越えて伝わる
ということです。

プレゼン資料を用意するときに、
「共通の文化を共有していないということは用語が理解できないことがあるかもしれない」
ということに気を付け、できるだけ一般的で分かりやすい単語を用いるようにしました。
これは専門外の人の前でプレゼンをするときにも気をつけなくてはならないことですね。

そして、研究に対する熱意や情熱は言語や国、人種を越えて伝わるということを実感しました。
相手に研究内容の細部まで理解してもらうことも重要ですが、
「伝えたい」という強い想いを持つことで
一番大事な部分は技術を跳び越えて伝わるのだと知ることができました。


今回は原稿を用意してそれをそのまま読みましたが、
次回は原稿なしで発表できるように、英語力とプレゼン力を磨いていきたいと思います