LALA文庫紹介:レポート作成の基本がわかる!入門書3選

20190806日(火)
こんにちは!LALAの小林です。
LALAのメンバーが日々紹介しているLALA文庫ですが、難易度や用途別にカテゴリー分けされているのはご存知ですか?
今回は「A. レポートや論文作成など、大学での学びに関するもの【入門】」の中から3冊ご紹介していきます。


A13『大学1年生のための伝わるレポートの書き方』都築学 [OPAC]
学術的な文章を書くために必要な勉強がわかる!
<こんな人にオススメ>
まだレポートを書いたことがない人、大学での勉強がどんなものか分からない人
●「調べる」「考える」「書いて伝える」の三部構成で、レポートを書くプロセスが語られています。
●具体的なテクニック紹介というよりは、レポート作成の流れを把握するガイダンス
身近な例え話が多く、文章も柔らかいため、学問の世界に初めて触れる人にも優しい。
【オススメコンテンツ】
第二章 批判的なまなざしを養う 審美眼を鍛える」(p.33-36)では、「前後読み」「パラパラ読み」「途中から読み」「積ん読」といった多読のアイディアが紹介されています。




A10『論文・レポートの基本:この1冊できちんと書ける!』石黒圭 [OPAC]
基本を押さえてレポート作成に必要な構成力と文章力を養う。
<こんな人にオススメ>
具体的に何をすればいいか知りたい人、文章が上手くかけなくて悩んでいる人
●第1部は、「問う」「調べる」「選ぶ」「確かめる」「裏付ける」「まとめる」の六部構成で論文作成の具体的な手順を紹介。
●第2部は、論文での文章表現を徹底解説。著者の専門が文章学なだけあり、初級者から上級者まで参考になる内容。
図解がとにかくわかりやすい!文献検索ツール比較表(p.35)をはじめ、出版物の学術レベル表(p.37)や論文の重要動詞一覧(p. 111)など、便利な表も満載。
【オススメコンテンツ】
「第2章 問うー目的」では問いを絞り込んでいくプロセスを具体例を用いながら詳しく解説。考えたいテーマが漠然としていて困っている人は必見です。




A9『資料検索入門:レポート・論文を書くために』市古みどり編著;上岡真紀子、保坂睦著[OPAC]
図書館での文献検索から、論文や新聞の検索方法までカバー!資料収集特化型の入門書。
<こんな人にオススメ>
欲しい資料がどこにあるかわからない人、文献検索ツールの使い方が知りたい人
●今回紹介した3冊の中で一番参考文献の書き方解説が丁寧(p.26-34)。
文献の種類と特徴を「何を調べるのに適しているか」という点から紹介。問いに合わせた文献検索のコツも掲載されています(p.66)。
●附録の「検索の手引き」では、フレーズ検索やワイルドカード検索といった検索規則のおさらいから、CiniiやGoogle Scholerなどツール別の使い方が丁寧に紹介されています。
【オススメコンテンツ】
「①ソーシャルメディアの中で最もよく使われているものは何か?(p.66)」という問いの答えを探すにはどんな文献を使えばいいかわかりますか?その答えは「6. 「?」と思うことを見つけるための情報収集(p.65-)」に。問いを深める文献探しの考え方が具体例と共に示されていますよ。



明日から本格的に夏休みが始まりますね。すでにレポート課題に取り組んでいる人も多いのではないでしょうか?
LALA文庫はどれも短く読みやすいものばかり。課題に困ったら是非読んでみてくださいね。
よい夏休みを!!

リサーチペーパーの始め方 (3):全体の構成を考える

20190802日(金)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。

リサーチペーパーの始め方 [第1回] [第2回]

リサーチペーパーの始め方第3回は、文章の全体像を考えます。リサーチペーパーは、アカデミックな書き手と読み手のいる一続きの文章ですから、調べたことを箇条書きにしたものとは異なります。主題文があり、それを支える根拠がロジカルに一貫性をもって示される必要があります。根拠には、事実を支える証拠と意見を支える論拠があり、こうした根拠を、ここでいうリサーチペーパーでは主に二次文献から引き出していきます。

■ 全体をシンプルに考える

文章全体の構成を単純にすると、問題の所在を論じた序論の最後に主題文があり、その後主題文を支える根拠(ときには事例や着眼点、想定反対意見への反証)が複数示され、最後にまとめとして結論がおかれます。

⭐︎序論
 ● 背景の説明:なぜこのトピックをこのように扱うのか
 ● 主題文:文章全体でイイタイコト
 ● 本論の構成
⭐︎本論
 ● 根拠1/事例1/着眼点1/想定反対意見への反証1
 ● 根拠2/事例2/着眼点2/想定反対意見への反証2
 ● 根拠3/事例3/着眼点3/想定反対意見への反証3
⭐︎結論
 ● 主題文の再提示


じっさいのリサーチペーパーはそれほど単純な構成にはならないかもしれません。ただ複雑に考えすぎて自分でも分かりづらいと感じるときは、一度コアの枠組みを取り出して組み立てをシンプルに考えてみると議論を引き締め、何が言いたいのかをはっきりさせることができます。

■ 主題文を書いてみる
主題文は、調べて考え書いていくうちに変化します。理想的には、リサーチが進めば、より明確に簡潔になっていきます。最初の段階での質について心配する必要はありません。とりあえず主題文を書いてみます。日本語なら80字で、英語なら25単語で、この文章全体を通してイイタイコトを言い切る練習と思ってやってみます。

ただ、どうしてもうまく書けない場合は、いったん諦め、全体でどういうことを書くのかを文章で書く作業や、アウトラインを書く作業に移ります。

■ 全体でどういうことを書くのかを文章で書いてみる
80字で主題文を書くのが難しい場合は、400から600字で序論の導入部分を書いてみます(英語なら250単語)。問題の所在を論じる部分になりますが、もしもピンとこなければ、次のような要素を意識してみます。(この部分は、序論の前半部分の下書きになります。)

● このトピックについて一般的に(あるいは特定の学問領域で)言われていることや分かっていること、あるいは「常識」は何か。
● このトピックを扱う際の切り口(テーマ)としてはどのようなものがあり、そのなかでも重要なのは何か。またなぜそれが重要なのか。
● この「常識」やテーマの重要性を認識したうえで、これまで間違っていたり分析が甘かったり見落とされたりしていたことは何か。
● そこから、このペーパーで調べたいことは何か。
● この疑問点を、どのように(何を対象とし、どの部分や要素に着目して)調べるのか。たとえばどの国や地域、時代、作品群や作家名、製品や成分の、何をどう調べるのか。
● 調べた結果として言えること(根拠をもって言えそうなこと)は何になるのか。

この導入部分の最後の方に、リサーチペーパー全体の主題や主張にあたる部分(主題文)が出てくるはずです。

■ アウトラインを書いてみる
仮の主題文と導入部分が書けたら、章や節、そして段落の構成を考えます。先に書いた全体の構成のなかで、本論にあたる部分、主題文を支える根拠(ときには事例や着眼点、想定反対意見への反証)の提示の仕方を考えます。

そして、最も説得力をもって主題文を支えるよう、このリサーチペーパーでカバーする論点を構成します

とくに歴史的な事件、あるいは映画や小説について分析するときに陥りやすい失敗は、その文章自体の構成が、対象とした事件の時系列や作品の展開に引きずられ、焦点がぼやけてしまうというものです。リサーチペーパーにしろ、他の文章にしろ、調査や分析の対象そのもの構造を含めた理解は重要ですが、その理解をもとに文章として書く際には、対象そのものの構成に逆らう必要もあることは覚えておいた方がよいでしょう。

リサーチペーパーとして書ける量には制限があるはずです。目安としては、たとえば序論1・本論3・結論1の割合で4000字書くとしたら、1単位(文章全体の1/5)は800字になります。序論の前半はすでに書いたので(問題の所在と主題文)、序論の後半では本論の構成を200から400字で書くことになります。この本論の構成部分を簡潔に書くと、アウトラインの骨組みになります。

この時点でのアウトラインは小見出しに近いものになります。リサーチが進み、考察が深まってくれば、このアウトラインは各段落の主意を伝えるトピックセンテンスに近いものになります。ですがこの時点では、小見出しを並べたものであったり、箇条書きに近かったり、項目の羅列であってもかまいません。

■ アウトラインに合わせて参考文献リストを書く
全体を5に分け、そのうち3を本論に割くとします。仮に論点が3つだったとしてそれぞれの論点を支える文献(根拠や事例、着眼点、本文で批判する反対意見)がそれぞれあるはずです。一つの文献が二つ以上の論点を支えている場合もあります。

アウトラインとざっくりと照らし合わせ、各論点にかかわる文献をあげてみます。文献が不足している部分があるなら、自分で調べる以外に、担当教員や図書館で相談するとよいでしょう。

◆ 主題文:〇〇は××だ。
◆ 論点1:なぜなら〇〇は××の一つである△△だからだ。
 参照する文献:文献A(根拠1と事例1)、文献B(事例2)
◆ 論点2:〇〇は□□を条件とするが、この□□という条件を支えているのが実は××でもある。
 参照する文献:文献A(着眼点)
◆ 論点3:一方〇〇は××ではないという意見があるが、それは〜〜という理由で当てはまらない。
 参照する文献:文献C(反対意見)、文献D(文献Cの意見に対する批判で自分自身が同意するもの)


もしこのように文献を使う予定であれば、文献AからDすべてを参考文献リストに入れます。

参考文献リストの作り方は、その分野によって違います。初めて作る場合や様式に不安がある場合は、こちらのサイトが参考になります

構想段階の文献リストは、それぞれの概要を知ったうえで、押さえておくべきもの、使えそうなものをあげておきます。リストにあげた文献すべてを完全に理解し読みおわっている必要はありません。丁寧に読んでみたら使えない文献というのもあります。最終稿で参照しないものがこの時点で入っていても(不要ならばあとで抜けばよいので)全くかまいません。

■ 仮のタイトルをつけてみる
「問題の所在」、「主題文」、本論の構成を示した「アウトライン」、現時点での「参考文献リスト」を書けたら、リサーチペーパーの「タイトル」をつけてみます。こたえは「問題の所在」や「主題文」のなかにあるはずです。

「タイトル」のつけかたは、これも担当教員によって期待されるものが異なります。疑問形にすべきとされたり、文字制限があったりします。よくある「〇〇についての考察」が認められない場合もあります。授業課題としてリサーチペーパーを提出する場合には、最終的につけるタイトルの要件について担当教員に確認しておきましょう。

■ 他の人の意見を聞く

ここまでの作業をまとめA4用紙2ページ以内に仕上げてみましょう。項目としては、次の5項目になります。

1. タイトル
2. 問題の所在(400-600字、英語なら250単語)
3. 主題文(80字、英語なら25単語)
4. アウトライン
5. 参考文献リスト


リサーチをさらに進め本文を書き始める前に、このアウトラインをベースに、他の人と話してみることをおすすめします。可能なら担当教員に、難しければ信頼できる勉強仲間やLALAデスクに相談してみてください。

次回はスケジュールについて考えます。

リサーチペーパーの始め方 [第1回] [第2回]

#ジャニス #レポート・論文

リサーチペーパーの始め方 (2):資料を特定する

20190801日(木)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。
(きょう8月1日は木曜日ですが臨時在席しています。)

リサーチペーパーの始め方[第1回

1回目に紹介した方法を試したけれど(もしくは試してもいないけれど)、適当なテーマが思いつかない、主題が大きすぎる/小さすぎる、トピックを指定されたが関心が持てない、というときはどうしましょう。

また一つのリサーチペーパーで、考えたことを全部使うことはできませんし、しません。調べたことを全部使うこともできません。最終的な文章が、押さえるべき情報は押さえたうえで、散漫で表層的なものにならないためには、リサーチで得られたものを取捨選択する必要があります。

リサーチペーパーの始め方の2回目は、調べものをするなかでこうした問題を解決していく作業を提案します。

■ 一次資料と二次資料
今回は二次資料を使ったリサーチペーパーを考えます。これは二次資料を使って、限りなく一次資料に近づく方法で、一般的な論文でいうところの先行研究レビューに近いものです。

何を一次資料とし、何を二次資料とするかは、何をどのように調べたいかによります。実験レポートを書くのであれば、実験データは一次資料で、データを分析した論文は二次資料です。そうした論文の言説分析をしようとするなら、それらの論文は一次資料、さらにそうした論文を分析したものが二次資料です。

■ 分野の必読文献を特定する
まずは必読文献と思われるものを探しましょう。授業のなかで、そのような文献を紹介されている場合もあるでしょう。まずはそういった書籍や論文から読んでいきます。

検索する際には、テーマだけではなく、著者名でも検索してみましょう。特定の書籍が手に入らなくても、当該書籍の著者が書いた論文や、その人が書いたものが収められた論文集、あるいは別の著作であれば、自分が利用している図書館に入っている場合があります。

大学図書館の本棚には当該分野の必読文献といわれるものが入っていることが多いです。お茶大を含めた大学図書館の蔵書を調べるときはCiNii Booksを利用します。

借りやすさでいうと地域の図書館の方が便利かもしれません。カーリルで東京都の図書館横断検索をしてみてもよいでしょう。また実店舗の書店の棚をみると新しい動向や話題になっているトピックがわかります。

学術書の後ろの参考文献の一覧に繰り返し挙がるものは(批判対象であっても)この分野を研究する以上読むべきものである可能性が高いといえます。

入門書や教科書も見てみます。今回考えているのは二次文献調査ですから、三次文献とでもいう入門書や教科書が参照している二次文献はおそらく押さえておいた方がよい文献である可能性が高くなります。さらにそのなかでも本文で言及されているものはその確率が高いといえます。

教科書的なものを見つけるためには、専門の教員に直接尋ねる以外に、大学の授業シラバスに掲載されている文献を見てみる方法があります。お茶大の授業シラバスに掲載されている指定文献はすでに付属図書館に収蔵されていることが多いです。

他大学のシラバスを探すのであれば、たとえば科学言説のなかのジェンダーについて調べたい場合なら、Googleなどの検索エンジンで「ジェンダー 科学史 テキスト 授業 シラバス site:ac.jp」と入れてみると読むべきものが見つかるかもしれません。(site:ac.jpで日本の高等教育・研究機関にほぼ限定できます)また英語文献で、たとえばトランスジェンダー研究の文献が載っていそうな米国の授業シラバスを見たいのなら「transgender studies introduction syllabus site:edu」といったキーワードを入れて調べます。

何から読めばいいのか分からない場合は、専門の教員に聞いたり、図書館で尋ねてみたりする以外に、LALAデスクも利用してみてください。

■ テーマが迷子でどうしようもないとき
資料が多すぎたり少なすぎたりして、どうしたらいいのか分からないときは、ノック式でいきます。学術データベースを一つ使って(たとえばCiNii Articles)、キーワード検索し、見つけた論文を読んでいきます。といっても全ページは読みません。また完璧主義な人ほど、読む論文の数やスケジュール的にかけられる時間を決めてから、作業に取り組むことをおすすめします。

結果として読みきれない量が出てきた場合には「被引用件数」順に並べ替えたり、時期を絞ったり、キーワードを増やしたりします。あまりにも結果が少ないときは、キーワードの数を減らしたり変えてみたり、また思っていたような文献に当たらない場合も、キーワードを変えてみます

面白そうな論文を見つけたら、もしくはちょっとでも関係がありそうな論文はまず要約を読みます。その先を読みたくなったら二段組みなら最初の2ページ、一段組みなら最初の4ページを読み、註か末尾の参考文献一覧を見ます。2ページや4ページだけではどういうものか判断がつかない場合や残りも読みたい場合は、文献情報を記録し、PDFをダウンロードし、必要なら印刷して整理していきます。

これは「雑」な読み方ですが、こういうことを調べたい、この本を読んでみたい、この論文は重要そうだ、ということがわかってきたら、そこから丁寧な読み方に切り替えます。ここでいう丁寧な読み方とは批判的な読み方のことで、方法としてはこちらの「クリティカル・リーティングを行う」解説ページ が参考になります。

次回はリサーチペーパー全体の構成を考えていきます。

リサーチペーパーの始め方[第1回


#レポート・論文 #ジャニス