リサーチペーパーの始め方 (2):資料を特定する

20190801日(木)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。
(きょう8月1日は木曜日ですが臨時在席しています。)

リサーチペーパーの始め方[第1回

1回目に紹介した方法を試したけれど(もしくは試してもいないけれど)、適当なテーマが思いつかない、主題が大きすぎる/小さすぎる、トピックを指定されたが関心が持てない、というときはどうしましょう。

また一つのリサーチペーパーで、考えたことを全部使うことはできませんし、しません。調べたことを全部使うこともできません。最終的な文章が、押さえるべき情報は押さえたうえで、散漫で表層的なものにならないためには、リサーチで得られたものを取捨選択する必要があります。

リサーチペーパーの始め方の2回目は、調べものをするなかでこうした問題を解決していく作業を提案します。

■ 一次資料と二次資料
今回は二次資料を使ったリサーチペーパーを考えます。これは二次資料を使って、限りなく一次資料に近づく方法で、一般的な論文でいうところの先行研究レビューに近いものです。

何を一次資料とし、何を二次資料とするかは、何をどのように調べたいかによります。実験レポートを書くのであれば、実験データは一次資料で、データを分析した論文は二次資料です。そうした論文の言説分析をしようとするなら、それらの論文は一次資料、さらにそうした論文を分析したものが二次資料です。

■ 分野の必読文献を特定する
まずは必読文献と思われるものを探しましょう。授業のなかで、そのような文献を紹介されている場合もあるでしょう。まずはそういった書籍や論文から読んでいきます。

検索する際には、テーマだけではなく、著者名でも検索してみましょう。特定の書籍が手に入らなくても、当該書籍の著者が書いた論文や、その人が書いたものが収められた論文集、あるいは別の著作であれば、自分が利用している図書館に入っている場合があります。

大学図書館の本棚には当該分野の必読文献といわれるものが入っていることが多いです。お茶大を含めた大学図書館の蔵書を調べるときはCiNii Booksを利用します。

借りやすさでいうと地域の図書館の方が便利かもしれません。カーリルで東京都の図書館横断検索をしてみてもよいでしょう。また実店舗の書店の棚をみると新しい動向や話題になっているトピックがわかります。

学術書の後ろの参考文献の一覧に繰り返し挙がるものは(批判対象であっても)この分野を研究する以上読むべきものである可能性が高いといえます。

入門書や教科書も見てみます。今回考えているのは二次文献調査ですから、三次文献とでもいう入門書や教科書が参照している二次文献はおそらく押さえておいた方がよい文献である可能性が高くなります。さらにそのなかでも本文で言及されているものはその確率が高いといえます。

教科書的なものを見つけるためには、専門の教員に直接尋ねる以外に、大学の授業シラバスに掲載されている文献を見てみる方法があります。お茶大の授業シラバスに掲載されている指定文献はすでに付属図書館に収蔵されていることが多いです。

他大学のシラバスを探すのであれば、たとえば科学言説のなかのジェンダーについて調べたい場合なら、Googleなどの検索エンジンで「ジェンダー 科学史 テキスト 授業 シラバス site:ac.jp」と入れてみると読むべきものが見つかるかもしれません。(site:ac.jpで日本の高等教育・研究機関にほぼ限定できます)また英語文献で、たとえばトランスジェンダー研究の文献が載っていそうな米国の授業シラバスを見たいのなら「transgender studies introduction syllabus site:edu」といったキーワードを入れて調べます。

何から読めばいいのか分からない場合は、専門の教員に聞いたり、図書館で尋ねてみたりする以外に、LALAデスクも利用してみてください。

■ テーマが迷子でどうしようもないとき
資料が多すぎたり少なすぎたりして、どうしたらいいのか分からないときは、ノック式でいきます。学術データベースを一つ使って(たとえばCiNii Articles)、キーワード検索し、見つけた論文を読んでいきます。といっても全ページは読みません。また完璧主義な人ほど、読む論文の数やスケジュール的にかけられる時間を決めてから、作業に取り組むことをおすすめします。

結果として読みきれない量が出てきた場合には「被引用件数」順に並べ替えたり、時期を絞ったり、キーワードを増やしたりします。あまりにも結果が少ないときは、キーワードの数を減らしたり変えてみたり、また思っていたような文献に当たらない場合も、キーワードを変えてみます

面白そうな論文を見つけたら、もしくはちょっとでも関係がありそうな論文はまず要約を読みます。その先を読みたくなったら二段組みなら最初の2ページ、一段組みなら最初の4ページを読み、註か末尾の参考文献一覧を見ます。2ページや4ページだけではどういうものか判断がつかない場合や残りも読みたい場合は、文献情報を記録し、PDFをダウンロードし、必要なら印刷して整理していきます。

これは「雑」な読み方ですが、こういうことを調べたい、この本を読んでみたい、この論文は重要そうだ、ということがわかってきたら、そこから丁寧な読み方に切り替えます。ここでいう丁寧な読み方とは批判的な読み方のことで、方法としてはこちらの「クリティカル・リーティングを行う」解説ページ が参考になります。

次回はリサーチペーパー全体の構成を考えていきます。

リサーチペーパーの始め方[第1回


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