調査について(その③調査のポイント)

20180625日(月)
皆さん

こんにちは。LALAのナターリアです。

今回は「調査について」の最終回になります。

ここでは主に面接(インタビュー)について書きます。具体的に、インタビューを行う時、いくつかの気をつけなければならないことがあります。

まず、調査対象者と信頼関係を作ることです。
調査対象者は参加に同意したとはいえ、必ず何でも話してくれるとは限らないのです。初対面の場合、特にインタビューされることに慣れていない人の場合、どうしても緊張感があり、答えたくないところもあるでしょう。なるべくたくさんの情報を得るために、相手をリラックスさせる雰囲気を作ることは不可欠です。

もう一つの大事なポイントは、自分で質問以外にあまり喋らないことです。インタビューの目的は対象者の意見を取り出すことですので、対象者が話しやすいように誘導質問をすることも大切です。特に、万が一、自分の意見は面接の相手の意見と一致しないようでしたら、この自分の意見を話し出すと、相手にとって威圧感を与え、信頼関係を崩し、相手の意見を得られなくなる可能性があります。

私自身はインタビュー調査を行う時、まず、「インタビューガイド」メモを使います。そして、質問を過去から現在というような一定のストーリー展開に沿うように並べ、それらの質問ごとにすべての質問がツリー状に系列化するようにします。さらに、インタビューの対象者につきメモを書きます。そこではインタビューの流れ、雰囲気、気付いたこと、思い出したこと、これから尋ねたいと思ったことをキーワードで記述し、得たデータを分析する時使うと便利です。

そして、インタビュー終了後1人になったら、フィールドノート用の調査用紙に観察情報や分析的コメントなどを書き込みます。インタビューを振り返り、インタビューでの話し方などについて修正すべき点を探し、次に対象者とする人を検討します。さらに、細かい分析ができるように、録音を聞いて完全な遂語録(録音したインタビュー内容を文字化したもの)を作成し、可能な範囲で分析を行います。

さらに、分析を行う時、対象者に約束した通り、個人情報が漏れないように、対象者の名前ではなく、コード番号をつけます。最後に、データを管理します( データは全てコード番号で管理する; 得られたデータは研究目的以外に使用しない; 研究成果は公表するが、個人を特定できる情報は公開しない; 固有名詞をイニシャルではなく、番号で表記する; 対象者から得た情報の一覧表リストはデータとは異なる場所に保管する)。

そして、私自身は「承諾書」には面接内容を対象者に送ってほしいかどうか聞いています。希望した対象者に文字化したデータを送り、もし、対象者が書き直したい部分があれば、修正し自分の研究では修正した内容を使います。

以上、調査について書いてみました。役に立てば、大変嬉しいです。そして、もし、より詳しくお話したいと思う方がいらっしゃいましたら、LALAをお越しくださいませ!

#ナターリア

調査について(その②面接の手順)

20180620日(水)
皆さん

こんにちは。LALAのナターリアです。

今回は「調査」というテーマの続きということで、よろしくお願いいたします。
(1回目は調査の方法についてアンケート調査と面接調査を簡単にご説明しました。第①はここです(調査について、①)。今日は、それらの調査の手順を紹介します。

1)調査の対象者を決めます。アンケート調査の場合、研究の枠組みで定められた具体的な基準があります。例えば、年齢、国籍、性別、家庭状況、勤務先などです。ほとんどの場合、作成したアンケートを多数の対象者に渡します。現場で調査用紙を配って渡すのか、または電子メールなどの通信システム(インターネットなど)を通じて渡すか、方法はさまざまあります。
面接(インタビュー)の場合には、同じく、基準を決めて対象者を決めます。しかし、基準や条件に当てはまりそうな人を探しにくい時もあると思います。その時、大事なのは、ランダムではなく、「有意抽出法」、つまり一定の意図のもとに行う方法を使うことです。具体的に言うと、①「スノーボール・サンプリング」、つまりインタビューに参加する対象者に他の対象者を紹介してもらう方法;②「理論的サンプリング」、つまりデータの分析結果から次の対象者を選択する方法があります。

2)調査の対象者が決まったら、まず、対象者に「研究のご協力のお願い」を渡し、同意を得る必要があります。そして、同意を得た上で、倫理調査委員会の承認を得ていることや、研究で得られた個人情報を第3者に漏らさないこと、そして得た情報を研究以外の分野で使用しないことを説明し、自分のサインを含んだ「依頼文書」を対象者に渡します。最後、対象者に調査に参加することを同意する「承諾書」をもらいます。
そして、面接では録音機器を使いたいなら、必ず()対象者の許可を得る必要があります。録画を許可することについて「承諾書」に記述し、対象からサインをもらいます。

3)面接の後、対象者に感謝の気持ちを伝えるために、お礼を渡すこともよくあります。その時現金ではなくても、たとえば、500円のスターバックスカードや図書カードなどが使えます。ちなみに、私はお礼としてロシアのお菓子を渡しました。

今回はここまでです!

#ナターリア

はじめましてのご挨拶と研究の紹介⑴ 〜「音楽学」について〜

20180618日(月)
はじめまして!
今年度より新しくLALAのメンバーに加わりました木村です。
勤務開始から早2ヶ月が経ちましたが、まだまだ手探り状態…
学生の皆さんからいただく質問を一緒に考えながら、たくさんのことを学ばせてもらっています。
皆さんにより有益な情報を提供できるように、またより皆さんの考えや思いに沿ったお答えができるように、広く深い学びを実践していきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします!

さて、今回がはじめてのLALA Tips投稿になりますが(緊張しています…汗)、
自己紹介を兼ねて私の研究についてお話ししたいと思います。

4月19日の記事にてすでにご紹介いただいていますが、私の専攻は「音楽学」です。

「音楽、学……!?」
「音楽を、”研究”するの…?」
「そもそもお茶大にそんなことやってるところがあるの?」

など、さまざまな”はてな”が浮かんでくることと思いますが…
あります、「音楽学」!お茶大に!

「音楽学」とは、英語で musicology、ドイツ語で Musikwissenschaftです。
Musik は「音楽」、Wissenschaft は「知識」といった意味ですが、
ここでわざわざドイツ語表記を挙げた理由は、まさに19世紀後半のオーストリアにおいて体系づけられていった学問だからです。
オーストリアの音楽学者グイド・アドラーGuido Adler(1855-1941)は、1884年に創刊された季刊誌『季刊音楽学』”Vierteljahrsschrift für Musikwissenschaft”において、初めて音楽学を体系的に論じました。
(”Musikwissenschaft”という語自体も、使われ始めたのは1820年代後半からです)
近代の所謂”科学的な”学問として語られるようになったのはこの頃からなので、そういう意味では比較的”新しい”学問と言えるかもしれません。

では、音楽を”学問”として考えるとき、どういった具体的項目が思い浮かぶでしょうか…
例えば、

・「音楽史」…音楽の”歴史”について研究する。
・「作品研究」…音楽の”作品”そのものを研究する。
・「音楽教育学」…音楽の”教育”について考える。

(項目の次元がバラバラですが、ひとまず分かりやすさのために。ご容赦ください)
このあたりは想像しやすいでしょうか。専門としていなくとも耳にしたことがある人は一定数いらっしゃるかもしれません。
しかし音楽の持つ様々な側面を考えるとき、もっと広がりが出てくるかと思います。例えば、

・音楽社会学
・音楽心理学
・民族音楽学
・音楽美学
・音響学

といったものが音楽学の分野・領域として存在します。
「音楽社会学」や「音楽心理学」はその名の通り、それぞれの学問領域の共通範囲に属していますし、
「民族音楽学」では、研究の対象が世界中の音楽へと広がります。
「美しい(良い)音楽とは何か」を考える「音楽美学」は、人文科学の究極とも言える「哲学」と切り離せない関係にありますし、
「音響学」は、音楽の物理的な側面に焦点を当てた、かなり”理系”寄りの領域と言えます。

ここに挙げたものはほんの一部ですが、このように音楽は、他の学問領域と結びついて様々な形・方法で研究されています。
「音楽学」の様相は、対象とする”音楽”そのものと同じく、実に多様なのです。
(その性質ゆえ、ここに挙げた分類も一例でしかありませんし、各領域の垣根もかなり低く、流動的と言えます。興味のある方は是非調べてみてください!)

では、この多様な「音楽学」を専攻として、私は具体的にどんな研究をしているのか…
次は、今までの卒論や修論での体験を交えながら、具体的な研究内容について少しお話ししたいと思います。
次回へ続きます!


#木村

調査について(その①調査の形式)

20180618日(月)
皆さま

こんにちは。LALAのナターリアです。

梅雨の時期が始まったのですが、どんどん蒸し暑くなりそうですね。かなり過ごしにくいと思いますが、私のように杉の花粉症がある人にとって割と楽なではないかと思います 

さて、今回は調査について考えていきたいと思います。
研究を行う方には調査の形式、手順、対象者、分析方法などを決定する必要があると思います。かなり手間がかかる作業ですよね。この作業をよりしやすくするために、以下に自分の研究経験から得たことを書きます。
文献の分析研究もあれば、量的研究と質的研究もあります。私自身は質的研究を行なっていますので、今回はこれについて書きます。

まず、研究の目的を達成すること、そしてリサーチクエスチョンに答えることに当てはまる調査の形式を決定しないといけません。例えば、調査形式にはアンケート調査があります。アンケートを作成する時、質問項目を定めますが、選択肢がある項目と自由に答える項目がありますので、回答にどれぐらいの時間がかかるかを対象者にあらかじめに知らせたほうがよいと思います。
他の調査形式としては、面接法(インタビュー調査)があります。
面接法は3つの方法があります。以下に簡単に説明します。

1) 構造化面接は、質問項目(「インタビューガイド」)を決めて、これに従って面接をおこなう方法です。1つの仮説を立て、それを証明するために具体的な資料やデータを提示する仮説検証型の研究スタイルに最適です。

2) 半構造化面接とは、構造化面接と同じように、「インタビューガイド」を作成し面接を行いますが、そこは、まず導入として一般的な質問(年齢、学歴、出身地など)から始め、対象者の回答を聞く中でその系列の質問群で回答されたもの・されなかったものを確認し、回答されなかったものは改めて補足的に質問するという方法です。この面接法の大きなメリットは調査の対象者に自由に話してもらえることです。

3)非構造化面接は会話形式であり、「インタビューガイド」などにとらわれる必要はないものです。コミュニケーションに集中し、こうした面接の目標に答える情報をたくさん得ることができます。この面接法は仮説探求型(つまり、立てた仮説の論証そのものにこだわることなく、資料やデータを通じて仮説そのものが少しずつ変容していくもの)に当てはまるものです。

続きは後です!

#ナターリア

修論体験談③-2ー文献で「歴史」を辿る

20180614日(木)
「なぜその動機が自分にとって動機となりえたのか(必要だったのか)」
「自分にそういうことを動機とさせる(必要とさせる)社会とはどのようなものなのか」
「社会では、そのことが、どうして、どのように必要なのか」

を探っていくことが必要、と前回お書きしました。

私個人の場合、上記の疑問点に辿り着いて初めて、当該テーマの歴史を押さえる重要性、あるいは、関連する歴史をテーマと絡めて考察する重要性に行き当たりました。
遅きに失した感はありますが、大事な発見だったので、今回取り上げたいと思います。

研究の過程として歴史を押さえることが必須ということは、卒業論文で学んでいました。
しかし、今から振り返ると、当時はただ必要だと教わっているからやっているに過ぎなかったと思います。

卒業論文の時と異なり、修士論文のテーマに選んだ事柄は、私の個人的な問題にとても近いものでした。
そのため、あらかじめ支持したい考え方や立場があり、その立場に沿って文献に目を通しているところがありました。

ある時点の著者の見解が活字になることで固定化され、保存されているものが「文献」であると私は考えています。
どんなものであれ、書かれたものは過去のもので、「歴史」の一部です。

しかし、読み手にとって、その本を読む契機となった体験や動機が、当人の心中であまりに生々しすぎると、読み手にとってはまさに今現在のリアルな問題であるために、「歴史」の一つとして検証する視点を失ってしまいます。
読み手にとっての答えを証明する部分だけを抜き出して読んでしまうことになりかねません。個人で読む分にはそれで問題ありませんが、研究という社会的な行為にはそぐわないものです。

一人の頭の中だけで組み立てられた認識は、いくら申し分ないように思えても、偏っている部分があると思います。なぜなら、その人があることを体験したり、体験を通して考えたりするようになった背景は、例外なく歴史の延長線上にあるからです。自分の考えを証明するためのものとしてではなく、考えの発生源を見直し、認識自体を更新するために、歴史を知ることは不可欠です。
したがって、過去に積み重ねられてきた先行研究も、「今」援用できるツールになりうるか、を見るに止まらず、どのようなものでも歴史的事実の一つとして捉える必要があります。歴史を扱った本だけではなく、新しい主張を提示しているようなものでもです。
当該テーマに関わる「歴史」を掴み、再考察することによって、

「なぜその動機が自分にとって動機となりえたのか(必要だったのか)」
「自分にそういうことを動機とさせる(必要とさせる)社会とはどのようなものなのか」
「社会では、そのことが、どうして、どのように必要なのか」


これらの疑問の答えを自分なりに定め、自分の中にあった問題を社会的なものとして再定義するために読むという姿勢が、「研究的に」テーマと向き合うための基本となります。

長々と当たり前のことを書きました。
私は気づくのがかなり遅かったのですが、気づいたことで、遅読なりにも文献に当たらなければ、と先行研究を追う目的意識がしっかりしたので、幸いでした。

追記)2018年7月2日
目的意識を持って先行研究を追うことができるようになると、今の領域で研究する意義も見えてきたりしました。
修論体験談①の記事の、「今の専攻領域の方法で研究する必要性を捉えたこと」に当てはまる部分ですね。
続けてこの問題について記事を書く予定でいましたが、別の機会に改めて掘り下げたほうがよいように思えたので、今回はとばします。
次回で一旦完結させます。


#みあ