多くを問う者は、多くを学び、多くを保持する〜問いを立てるための技術〜
2021年11月01日(月)
みなさん、こんにちは。
今学期は月曜12時から14時、LALAデスクにいます萌子です。
さて、本日は
クエスチョン・フォーミュレーション・テクニック
(question formulation tehnique: QFT)
なるものを紹介したいと思います。
カタカナだらけで若干読みづらいですが、アメリカ発の教育実践で、
邦訳がないまま日本でもそのまま用いられているようです。
ここでは以降、QFTと呼ぶことにします。
なお、この手法は以下の本の中で紹介されています。
QFTーーー直訳すれば「質問を形成する技術」。
もう少しわかりやすくいえば「問いを立てるためのスキル」とでもなるでしょうか。
なにごとも思考するには「なんで?」を問うていくステップが必要です。
例えば授業で課せられるレポート作成に際しても
「なんで?」=「リサーチクエスチョン」
がそのレポートで示したい話の流れを調節する歯車的役割になります。
「なんで?」はすべてのストーリーに不可欠な要素です。
学校での学びに限らず、就職してからこの思考法があなたを救い出してくれるかもしれません。
けっして教室の中だけの話ではないということをはじめに理解して臨むことをお勧めします。
とはいえ、「問うこと」の重要性を十分承知した上で
「問うこと」自体に困難を感じている人が現代人には多いのかもしれません。
「これなんだろう」と思ってもすぐに「ググれ」と言われる時代・・・
「問うこと」の質的な意義についてが強調されるようになっている気がします。
そういう意味で時代にかなった思考法でもあるのかもしれない・・・?
本書では、現役の教員たちがQFTを用いてみた実体験が
相当数紹介されながら話が展開されるので、
実例で以って具体的に理解しながら読み進めていくことができます。
大前提に、QFTには次の7段階があります。(本書p.41 表1-1 参照)
1から7のステップを順にクリアしていくことで、
テーマを多角的に考える(発散的思考)、
問いを絞り込む(収束的思考)、
問いを通じて自分自身を俯瞰する(メタ認知的思考)
プロセスを学ぶことができるというわけです。
QFTにはゆるやかなルールがあります。(本書 p.87-89)
ステップ2でルールの妥当性を参加者に先に話し合ってもらうこと、
これによってファシリ、参加者、全ての人の立場関係がある程度均されるといいます。
(これ、すごく大事ですよね!)
これは一人で行う際にも重要なことだと思います。
「なんで?」を問う段階でポツポツと考えは浮かんでくるけど
どうせどうしようもないし、と書き留めずに次に進んじゃうことありませんか?
そうではなく、まずは思いつくままに質問を書き出してみる。手を止めない。
ここにQFTの一つの刺激があるのだと思います。
アートというと美術的な何かを思い浮かべますが、
そもそもの語源は「技巧、技術」です。
余談ですが、アートの邦訳としてもっとも出てくる日本語の「芸術」も、
広辞苑では「技芸、学術」が第一義に挙げられており、
必ずしも「美的な何か」が含意される言葉ではないのです。
また日本語で「美術」をイメージするようなものに対する
訳語としてのフランス語はbeaux artsです。
つまり美術とは「美」に関する「アート=技術」なのであって、
アートのみで美術館に並ぶ作品を思い浮かべるのは本来的な意味からはずれているのです。
余談はさておき、つまるところ、
質問づくりは「技術」なのである。と筆者はそう断言します。
才能ではなく、訓練して習得する職人技に近いものだということです。
さらに科学的でもあって、法則に従って実践して結果を得るという
因果関係がはっきりとしたものであるということなのです。
ネタバレはしませんが、個人的に興味深かった点を
1点だけ紹介して本記事を終わりにしたいと思います。
技術であるということは、何かしらのコツがあるはずですね。
本書が言いたいのは、質問をやみくもにつくりまくれば良いということではありません。
上で紹介した7つのステップの中で、個人的にもっとも「アート」に近しいと思うのは
ステップ4、チームで出し合った大量の質問を吟味する、です。
吟味とは、具体的に質問をいくつかの種類に振り分けてごらん、ということです。
しかも質問はたったの2種類に振り分ければいいと言います。
振り分けるために用いる判断基準は
「こんなこと?」と思うくらいに単純です。
しかし、質問づくりにおいて最も象徴的な「アート」だと思います。
このアートに基づくプロセスがなければ質問づくりの科学性もなくなってしまうでしょう。
今日の文庫紹介は以上です!
実はまだこの本、LALA文庫には登録されていません(追加予定)。
お茶大図書館には蔵書がありますので、興味のある方、ぜひ読んでみてください。

読んでみて考えたこと、わからなかったことを誰かと考えてみたいという方
図書館1FのLALAデスクでお待ちしています!
#萌子 #LALA文庫
今学期は月曜12時から14時、LALAデスクにいます萌子です。
さて、本日は
クエスチョン・フォーミュレーション・テクニック
(question formulation tehnique: QFT)
なるものを紹介したいと思います。
カタカナだらけで若干読みづらいですが、アメリカ発の教育実践で、
邦訳がないまま日本でもそのまま用いられているようです。
ここでは以降、QFTと呼ぶことにします。
なお、この手法は以下の本の中で紹介されています。
QFTーーー直訳すれば「質問を形成する技術」。
もう少しわかりやすくいえば「問いを立てるためのスキル」とでもなるでしょうか。
なにごとも思考するには「なんで?」を問うていくステップが必要です。
例えば授業で課せられるレポート作成に際しても
「なんで?」=「リサーチクエスチョン」
がそのレポートで示したい話の流れを調節する歯車的役割になります。
「なんで?」はすべてのストーリーに不可欠な要素です。
学校での学びに限らず、就職してからこの思考法があなたを救い出してくれるかもしれません。
けっして教室の中だけの話ではないということをはじめに理解して臨むことをお勧めします。
とはいえ、「問うこと」の重要性を十分承知した上で
「問うこと」自体に困難を感じている人が現代人には多いのかもしれません。
「これなんだろう」と思ってもすぐに「ググれ」と言われる時代・・・
「問うこと」の質的な意義についてが強調されるようになっている気がします。
そういう意味で時代にかなった思考法でもあるのかもしれない・・・?
というわけで、QFTを紹介します!
本書では、現役の教員たちがQFTを用いてみた実体験が
相当数紹介されながら話が展開されるので、
実例で以って具体的に理解しながら読み進めていくことができます。
大前提に、QFTには次の7段階があります。(本書p.41 表1-1 参照)
- 質問の焦点を決める(ファシリのみ)
- 質問づくりのルールを確認する
- 質問をつくる
- 質問を改善する
- 質問に優先順位をつける
- 次のステップ
- 振り返り
1から7のステップを順にクリアしていくことで、
テーマを多角的に考える(発散的思考)、
問いを絞り込む(収束的思考)、
問いを通じて自分自身を俯瞰する(メタ認知的思考)
プロセスを学ぶことができるというわけです。
たった3つのルール
QFTにはゆるやかなルールがあります。(本書 p.87-89)
- 話し合いはしない
- 質問を評価しない
- 質問に答えない
ステップ2でルールの妥当性を参加者に先に話し合ってもらうこと、
これによってファシリ、参加者、全ての人の立場関係がある程度均されるといいます。
(これ、すごく大事ですよね!)
これは一人で行う際にも重要なことだと思います。
「なんで?」を問う段階でポツポツと考えは浮かんでくるけど
どうせどうしようもないし、と書き留めずに次に進んじゃうことありませんか?
そうではなく、まずは思いつくままに質問を書き出してみる。手を止めない。
ここにQFTの一つの刺激があるのだと思います。
質問づくりはアート(創造)であり、科学でもある
アートというと美術的な何かを思い浮かべますが、
そもそもの語源は「技巧、技術」です。
余談ですが、アートの邦訳としてもっとも出てくる日本語の「芸術」も、
広辞苑では「技芸、学術」が第一義に挙げられており、
必ずしも「美的な何か」が含意される言葉ではないのです。
また日本語で「美術」をイメージするようなものに対する
訳語としてのフランス語はbeaux artsです。
つまり美術とは「美」に関する「アート=技術」なのであって、
アートのみで美術館に並ぶ作品を思い浮かべるのは本来的な意味からはずれているのです。
余談はさておき、つまるところ、
質問づくりは「技術」なのである。と筆者はそう断言します。
才能ではなく、訓練して習得する職人技に近いものだということです。
さらに科学的でもあって、法則に従って実践して結果を得るという
因果関係がはっきりとしたものであるということなのです。
ネタバレはしませんが、個人的に興味深かった点を
1点だけ紹介して本記事を終わりにしたいと思います。
技術であるということは、何かしらのコツがあるはずですね。
本書が言いたいのは、質問をやみくもにつくりまくれば良いということではありません。
上で紹介した7つのステップの中で、個人的にもっとも「アート」に近しいと思うのは
ステップ4、チームで出し合った大量の質問を吟味する、です。
吟味とは、具体的に質問をいくつかの種類に振り分けてごらん、ということです。
しかも質問はたったの2種類に振り分ければいいと言います。
振り分けるために用いる判断基準は
「こんなこと?」と思うくらいに単純です。
しかし、質問づくりにおいて最も象徴的な「アート」だと思います。
このアートに基づくプロセスがなければ質問づくりの科学性もなくなってしまうでしょう。
今日の文庫紹介は以上です!
実はまだこの本、LALA文庫には登録されていません(追加予定)。
お茶大図書館には蔵書がありますので、興味のある方、ぜひ読んでみてください。

読んでみて考えたこと、わからなかったことを誰かと考えてみたいという方
図書館1FのLALAデスクでお待ちしています!
#萌子 #LALA文庫