【レポ②】研究活動の「失敗談」LALA座談会2022、終了しました!

20221223日(金)
こんにちは!LALAの木村です。
今回は、前回の座談会レポの続き、第2回です


②進学先・研究室選択:
このトピックについては、大学院からお茶大に外部進学した1人が失敗と経験を語ってくれました。
まず、同じ研究室に先輩がいない!という状況に直面。
自分が遭遇した困難について気軽に相談・共有できる人がいないと、
解決策を1から模索しなければならず、想像以上に不利な状況です。
さらに博士に進学すると、博論の主査を担当できる先生がコース内に少ない、という事情も判明。
ここで、「指導教員の専門と自分のテーマとの兼ね合い」という話題に発展します。
これは、LALA全員が大きく共感する話題でした。
指導教員の専門は、日頃のゼミなどでもらえる意見の内容はもちろん、
前述のように進級の際に先生が変わってしまう場合にも、大きく影響します。
しかし、自分のテーマに近ければ良い、というものでもありません。
専門が遠くても、例えば研究の「アプローチ」などは分野を問わず参考になったり、
異分野の人に伝わりやすい文章を書く訓練ができたりします。

③研究スケジュール:
様々な悩み・困難はありながらも、月日というのは無情に過ぎていくもの。
何をいつやるのか、研究は計画が命です。
研究スケジュールについては、学部4年、修士、博士の3つの時期に分けて話しました。
学部から修士へと内部進学する場合は、夏休みに入試がある人も多いと思います。
前期が終わったばかりのタイミングで、まだ仕上がっていない卒論の内容を説明し、
それを踏まえた修士の展望まで話さなければなりません。
この一大イベント「院試」を、むしろ卒論進捗に活用する工夫を語ってくれました。
卒論と比べれば、修士の2年間は十分な時間があるかと言えば…まったくそんなことはない!
修士の1年目にやっておくべき基盤作りについてもお話しました。
博士になると、また違った問題があります。
論文投稿や各種審査のスケジューリングを確実に行うことはもちろんのこと、
研究資金も自ら集めなければなりません。その応募書類を書く時間も必要になります。
他にも、生活のための仕事を始める場合も多いため、これまで以上に時間との戦いになります。

④withコロナの研究活動:
このように、研究活動には多様な“戦い”がついて回りますが、新型コロナの拡大によって、
その戦い方も良くも悪くも大きく変わりました。
現地調査が必要になる2人は、「現地に行けない」「調査対象を見られない」という
直接的な困難に遭遇しました。
資料調査がメインの1人は、「図書館に行けない」ことが想像以上にデメリットでした。
検索エンジンは、あるワードを入れれば即座にたくさんのことを調べられますが、
“思わぬ繋がり”に到達する経験はあまり得られません。
久しぶりに開館した図書館で、専門外の棚の前を通って関連のありそうな書籍を見つけた時、
図書館の重要性を改めて認識したと言います。
一方で、人と会えなくなったことによってオンラインツールが発達し、
遠く離れている人とも気軽に話をしたり、
場所を問わず学会や研究会に参加できるようになったメリットの大きさは、
LALA全員が共感する部分でした。


以上が、当日お話しした流れです。
少しでも何か引っかかる部分があればいいなと思います!
最後に、登壇してくれたLALAお二人からの感想もお届けします!

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座談会企画として、LALAそれぞれの経験を皆さんと共有できたのは、貴重な機会だったなと思いました。
特に、今回は「台本なし」だったので、LALA同士の生の反応や言葉を届けられたのが良かったなと感じています。
また、皆さんの反応を見ながら、話す内容や話し方を変えていくのが、難しくも楽しく、勉強になりました!
ありがとうございました!
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対談企画に参加したのは初めてでした!
一緒に企画したお二人は学部からずっとお茶大で、卒論のテーマ決めや進学についても私とバックグラウンドが全く違います。
初めて聞くお話もあって、とても新鮮でした。
30分では時間が足りなくて、まだまだお伝えしたいネタが…
もし次の機会があるなら、皆さんから聞きたい話題を集めて、それについてお話しできたら良いなと思いました。
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LALA側としては、まだまだ話し足りない様子…
ということで、第2弾も乞うご期待です!

少し丁寧めな、2回に渡る長いレポとなりましたが、
読んでいただきありがとうございました
それでは皆さま、メリークリスマス&良いお年をお迎えください〜!

【レポ】研究活動の「失敗談」LALA座談会2022、終了しました!

20221213日(火)
こんにちは!LALAの木村です。
2022年もとうとう師走に突入しました

さて、先日12月6日(火)のお昼休み、
LALA座談会2022が盛況のうちに閉幕しました!!
対面にて3名、オンラインにて3名の方にご参加いただき、にぎやかな会となりました。
ご参加いただいた皆さまありがとうございました!

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今回のテーマは「失敗談」。
普段、学生さんの学習相談を受けてアドバイスする側にいるLALAですが、
一方では自身も日々学び続ける大学院生。
アドバイザーとしてではなく学生という立場から、
自らの経験を皆さんに共有したい、という思いでこの企画を始動しました。
特に「失敗」は、ネガティブなイメージで捉えられがちですが、
うまくいかなかった経験こそ皆さんと共有することで、
前向きに捉え直し、次のステップへの推進力としていきたい!
そんな願いが込められたテーマでした。

トピックは、①研究テーマ設定、②進学先・研究室選択、
③研究スケジュール、④withコロナの研究活動、の4点と盛りだくさん!
今回は2回に分けて、当日お話しした内容をちょこっとだけ紹介したいと思います!

①研究テーマ設定:
このトピックは、LALAセミナーのアンケートでも要望が多く、誰もが1度は悩む問題なのではないでしょうか。
まず経験として、自分が「不得意なこと」や日頃から「納得いかないこと」をテーマ設定の出発点に置く、という話題が出ました。
このやり方では、そもそも「不得意なこと」と付き合い続けることになるため、何をするにも時間がかかるデメリットがあります。
しかし言い換えれば、多くの疑問や困難が出発点になっているため、研究に大切な「問い」が尽きる心配はあまりありません。
そこから、「テーマの発展性」という話題に繋がりました。
学部から内部進学を経験した1人は、学部3年次の演習授業の内容を引き継ぎ、
卒論、修論へと繋げていく工夫と経験を語ってくれました。
自分の専門分野だけに留まらず、様々な分野・領域と共通範囲を持ち得るかどうかという点も、
長く付き合えるテーマを見つける大事な視点のひとつです。
しかし同時に、学部3年から4年の間で指導教員が変わる経験もしたそうで…
そこから、次のトピックへと繋がります。

第2回へ続く…


LALAセミナーレポ「大学院生活の過ごし方」

20220121日(金)
皆さん、こんにちは。LALAのカンです。
新年早々、LALAセミナーを開催いたしました!今日は1月19日のLALAセミナーについて、簡単な報告を書きたいと思います。

「大学院生活の過ごし方:大学講義、研究調査、論文・発表のバランスを考えてみよう」というテーマについて、次の3つの内容に分けてお話ししました。
 ・進学前後で感じた大学生活のギャップ
 ・正課内外・キャンパス内外の学びの場
 ・キャリア・進路

これまでの大学生活を振り返って、個人的経験から大学院生活の過ごし方について感想を共有しましたが、必ずしも同じ方法で大学院生活を過ごすわけではないし、「これで進めば絶対大丈夫だ」というような正解でもありませんので、こんなテーマを中心に一緒に考えてみて、大学院生活について少しでも印象に残ったらいいなあと思っています。

最初は進学前後で感じた大学生活のギャップについてですが、留学生の私にとって、実感したギャップは次の3つがあります。
 ・大学院に進学した後、同期生との繋がり/人的ネットワークが弱くなったような感じ
 ・大学院に進学した後、授業の進め方がだいぶ変わったような感じ
 ・大学院に進学した後、時間管理がかなり求められるようになった感じ

私は留学生プログラムで中国の大学学部3年生の時、日本の私立大学学部3年に編入しました。
これまでの2年間の学部生活、とその後の2年間大学院修士課程の生活を振り返ってみると、学部のほうは部活だったり、大学イベントだったり、同期生を集める機会が非常に多かったし、または履修科目も多いので、ほぼほぼ毎日同期生の皆さんに会えました。
大学院に進学した後、とにかく必須科目は学部より少なくなり、かつ大学授業以外、皆は個人の研究・調査に専念していて、学部生活と比べると、やはり個人作業の時間がずいぶん増えてきました。学部と異なり、授業履修以外、自立した研究者として、どのようにケンキュ調査をデザインするのか、どのような研究内容を設定したら意義があるのかなど、研究スキル・研究能力を高めるために、自分で努力に励むことが大学院生活の重要な一部分だなと私が常に感じています。

このようなギャップに対して、特に留学生の私にとっては、学業だけではなく、生活面においても色々な困難に直面し、その時はやはり誰かの助言やサポートが欲しかったです。
人的ネットワークを広げるために、大学キャンパス内、正課時間内に限らず、より広い範囲で学びの場を創出し、活用することが大事だなと私がいつも思っています。例えば、正課時間外、同じ研究室の人、同じ科目を履修する人などを集めて勉強会か読書会を行ったり、LALAデスクを利用してLALAと相談したり、自分のチューターさんと話し合ったりするなど、色々な手段があって、とにかく周りにある人的支援リソースを見つけ、または積極的に他者と学び合う場を創り出し、何らかの形で学友のコミュニティを築くことが重要だと思っています。

そして、大学院授業の進め方もだいぶ変わってきて、先生は教育者のように知識を教えるより、学生メンバーの私たちの理解を促進したり、ディスカッションを活発させたりするようなファシリテーターの存在に変えてきたと感じました。
こんな変化が起こった中で、授業の主役はやはり学生の私たちに変えて、先生から教えるよりも、学生からレジュメ発表したり、学生メンバーでディスカッションしたりする時間が増えてきました。このように、やはり主体的思考力、読み書き能力・リテラシー能力、プレゼンテーション能力などを高める機会が多く、常に自分の考えや思考を他人と共有したり、自分の研究に活かして反映したりすることが求められています。

さらに言えば、学部生活に必要となる知識学習能力に加え、学術研究における高次的認知力(例:批判的思考力)をより一層鍛える必要があります。例えば、ある研究分野における最新の研究動向だったり、これからの研究展望だったりなど、それらに気づく研究者の「勘」が重要ですね。それについて、私にとってとても勉強になった機会は、学会参加です。同じ研究分野の人々に接触する機会も得られるし、他者の発表を聞いたり、他者と話し合ったりすることでその分野での研究動向に気づく機会も得られます。私だったら、例え自分から研究内容を発表しなくても、関心のある学会があったら、いつも参加してみます。

そして、大学院に進学した後、時間管理、もっと言えば短い2年間しっかりプランを立てて、計画的に進めるということがかなり求められるようになったと感じました。例えば、M1、M2はそれぞれ何をすべきなのか?いつ、何単位をとれば良いのか?研究調査はいつからスタートしたら良いのか?どんな準備が必要なのか?いつ頃から修論を執筆し始めたら良いのか?学会発表は本当に必要なのか?必要だったらいつ準備したら良いのか?いつ頃からキャリア・進路を意識したら良いのか?などなど…色々な問題は大学院の在学中、自分の進捗に合わせて検討する必要がありますね。他者のやり方を真似たり、他者と比べたりすることは必要ではないと私が一番言いたいです。

ただ、あまりにもマイペースで過ごしたり、だらだらだったり、失敗だらけですね。先輩の様子を見ながら、自分の学習スタイルに合わせて方法を模索することが大事です。それも自立した研究者に必要なスキル・能力だと思っています。修士2年間は具体的に何をすべきなのかについて、今回のLALAセミナー資料、または以下の過去のブログもあるので、参考程度にご一読いただけましたら嬉しいです!
 ・「LALAセミナーレポ はじめての研究生活:大学院生に向けて(前編)」
 ・「LALAセミナーレポ はじめての研究生活:大学院生に向けて(後編)」

長くなりましたが、以上の内容で新年初のLALAセミナーを開催いたしました。次回は2月2日開催予定です!詳細が決まりましたらこのブログやお茶大Moodleの「オンラインLALAセミナー」に掲載しますので、随時情報を確認いただけましたら幸いです!

1月19日(水) LALAセミナー開催予定です!

20211224日(金)
皆さん、こんにちは。LALAのカンです。
今年も残りわずかですが、寒さに負けず、年末まで駆け抜けます!

さて、早速ですが、年明けのLALAセミナーをご案内します。
新年挨拶を兼ねて、1月19日(水)、次のテーマについて皆さんと話し合いたいと思います。

テーマ:大学院生活の過ごし方:
    大学講義、研究調査、論文・発表のバランスを考えてみよう
日程:1月19日(水) 12:30〜13:00 Zoomによるオンライン開催


一見すると、大学院生に向けた話題ですが、大学院進学希望者、または「大学院と学部の違いって何ですか?」という疑問を抱く学部生の方も大歓迎です!!!

当日のZoomリンクや配布資料等の詳細は、お茶大Moodleからご確認いただけます!(随時更新)
Moodleトップページ左側の「マイコース」から「すべてのコース」を選択し、
「図書館」>「オンラインLALAセミナー」を自己登録すると、各回のセミナー詳細が見られます!
またはこちらからどうぞ。
皆さんのご参加をお待ちしております!

年明けのLALAセミナーで皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!
良いお年を!

LALA座談会報告③ー「書く」

20211220日(月)
こんにちは、月曜担当の萌子です。
これまでの記事に引き続き、12月1日に開催したLALA座談会開催レポートを書きます。
当日私が担当したのは③「書く」です。

このパートでは次の2点が問われました
⑴アウトラインから脱線せずに、執筆を進めるには?
⑵研究意義はどうやって打ち立てる?
報告レポートでは主に1点目について書いていこうと思います。

論文はサスペンス小説家になった気分で書くべし

突然ですが、皆さんはミステリー小説とサスペンス小説の違い、わかりますか?
ミステリーとは、読み手も犯人が誰なのかわからないまま、探偵の推理を読み進めるものです。
反対にサスペンスは、読み手はすでに犯人が誰であるかわかっている中で、
その事件がどのように起こったのかを追っていきます。
わかりやすい例で言えば前者は『名探偵コナン』、後者は『デスノート』です。
どちらも小説であれば面白い話が書けます。
が、レポートや論文を『名探偵コナン』のように書いてはいけません。
レポートや論文はサスペンス小説のように書かなくてはなりません。

論文書かなきゃ〜と思うと腰が重たくなりますが
今からサスペンス小説を書くぞ!と思うとワクワクしてきませんか?
おもしろいことに「サスペンス小説 書き方」と検索したら次のようなページに出会いました。
「【推理小説書き方】:推理小説を書くルールとは?」
https://nana1029.exblog.jp/16834781/
サスペンス小説の書き方にも色々な法則があるようでついつい寄り道したくなりますが、、、

法則で何が言われているのか、簡単に抜粋します。
長くなってしまうので全ては説明しませんが、
例えば、事件の「謎」とは論文のリサーチクエスチョンのことであるし
その謎を解く「手がかり」とは論文で用いるデータである、、、というように、
あくまで論文を書いていることをイメージしながらこのリストを読むと
非常にわかりやすく、論文でしてはいけないこと、すべきことがわかります。

  • 事件の謎を解く手がかりは明白に記述されていなくてはならない。
  • 作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者を騙すような記述をしてはいけない。
  • 余計なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、犯人を正義の庭に引き出すことであり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
  • 犯人は論理的な推理によってしなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって解決してはいけない。
  • 探偵小説には必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
  • 長編推理小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
  • 犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
  • 作中にいくつもの殺人事件があっても、真の犯人は1人でなければならない。端役の共犯者がいてもよい。
  • 殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的かつ科学的であること。空想科学的であってはいけない。毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
  • 事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
  • よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。

この法則に基づくと、サスペンスの冒頭で必ず
犯人が事件をどのように起こしたのかが端的に描写されます。
犯人と事件を結びつけるトリックが様々な切り口から説明され、
最後には事件を起こすのに十分なだけのリストが出来上がります。
それで、最終章で全ての点が結び付けられ、改めて犯人が名指される。
全ての点が結びついていく様は、科学的に論理立って説明される必要があります。
急にファンタジー的な考え方が出て事件が解決されたら読み手は興ざめです。

私がここで何を言いたかったのかと言えば、
サスペンス小説が上の法則に従って書かれた時、脱線することがないように
(つまり、最初に出てきた犯人と最後の謎解きで出てくる犯人は同一人物)
論文も似たような考え方で書き進んでいけば脱線を免れるということです。

犯人が誰かを決めずにサスペンス小説を書き出す人はいないはずです。
ついでに、犯人がどんな道具を使って、誰を殺したのか。
事件を構成するのに必要な諸ポイントを決めずに書き始める人もいないでしょう。
これらが論文を書き始めるにあたって私たちがまず持っていないといけない材料になるわけです。

かなり話を長くしてしまいましたがいかがだったでしょうか?
「論文はサスペンス小説家になった気分で書くべし」
これが「アウトラインから脱線せずに執筆を進めるためには?」の一つの回答です。
ぜひ、みなさんも試してみてください。

#萌子