倫理審査申請書の提出に向けて
2019年10月07日(月)

月曜午後を担当している中村です。
空気が冷たくなってきて、秋を感じる今日この頃ですね

今年は博士後期に進学して1年目、前期は今後の研究計画を考えることに費やしました。。
先日、「倫理審査申請書」が承認を受け、やっと新しい調査を始めることが出来ました!
私の研究は人や団体に対して質問紙調査を行うので、
毎回、倫理審査委員会に「倫理審査申請書」を提出する必要があります。
最近はゼミの後輩から倫理審査についての相談を受けることも増えてきました。
そこで今日は文系(人文社会科学系)の倫理審査についての記事を書いてみようと思います。
あくまで文系向けですので、その前提でお読みください


Q1. 誰が出さなくてはいけないの?
まずは、お茶大HP上で研究倫理についてチェックしてみましょう

ざっくり解説すると、
「研究倫理」とは、研究を行う上での決まり事、
「倫理審査委員会」は各々の研究がきちんと研究倫理を守って行われているかを判断するところ、という感じでしょうか。
お茶大では以下の5つの倫理審査委員会が設けられています。





文系で人を対象とする調査や実験を行う場合は、「人文社会科学研究の倫理審査委員会」に申請を行う必要があります。
調査や実験を始める前に「この研究は研究における決まりをきちんと守っている」と承認してもらうのです。
学会発表や論文投稿の条件としてこの承認が必須になることもあります。
ちなみに、学部生の卒論の場合は申請不要、チェックリストに沿って各自で確認ができていれば良いそうです。
(チェックリストは上記リンクページでダウンロードできます!)
Q2. なぜ申請をする必要があるの?
「研究における倫理」は非常に幅が広く、ここで全部を説明することはできないので
LALA文庫

倫理審査委員会で審査されるのは、そのうちのごく一部だけです。
何のための倫理審査かということを私なりに解釈すると、
「実験・調査対象者の権利を守るため」だと考えています。
学部生向けのチェックリストを見ると、何に配慮すべきかが分かります。





実験・調査対象者の権利を守ることができているのか、という視点で
上記の5点に配慮しながら申請書を埋めていけば問題ありません。
研究協力への同意が強制ではなく自由意思を尊重しているか、や
対象者にとって過度な負担を強いる内容になっていないか、という点を審査されます。
質問紙なのか、インタビューなのかでも、配慮する点が異なってきますが
下線部の「同意を得る手続き」は修正を求められることが多い部分です。
Q3. いつ出さなくてはいけないの?
人に対する調査や実験を開始する前に
申請から承認までの全ての手続きが終わっていなくてはなりません。
Q4. 申請から承認までの流れは?どのくらい時間がかかるの?
基本的な流れは、以下の通りです。
提出→倫理審査委員会での審査→結果の通知→修正→再提出→再審査→承認通知
→書類一式提出(持込)
最初の提出から結果の通知(下線部)まで、3週間〜1ヶ月強かかります。
【修正指示は必ず来る】と思っておいた方がよいでしょう。
修正して再提出した後、再審査にかかる時間がどのくらいなのかはその時々で違います。
私の経験では2、3日で結果が来た時もあれば1ヶ月かかった時もあります。
なので、最低でも2ヶ月の余裕をもって提出しましょう。
調査のギリギリ直前に出すのは禁物!
ちなみに、承認後も指導教員のサインが入った申請書と書類一式を研究協力課に提出しなくてはならないので、お休みの期間に入っちゃったりしていると結構面倒です。
それも踏まえてスケジューリングする必要がありますね。
Q5. どんな書類を出すの?
最初の申請時に必要な書類は、


そうなんです。
実際に調査・実験で使用する書類が揃っていないと申請できないんです!
調査・実験の2ヶ月前に書類を作成するのはなかなか大変なのですが、
申請してしまえばあとは実行するのみ、
労を惜しまずに頑張りましょう!!
倫理審査申請書はホームページからファイルをダウンロードし、記入例に従い作成していきましょう。
(申請書類はリンクしてあるページの最下部にあります)
審査後に修正して再提出する際は、修正結果の対応表(任意の書式)を別途作成して添付する必要があります。
Q6. 承認してもらったら終わりですか?
調査・実験が終わったら、

を提出しましょう。
申請通りに調査・実験が終えられたのか、報告する義務があります。
提出するタイミングは、「調査・実験を終えた後」です。
提出締切の規定はありませんが、もちろん早い方が良いです。
修士論文で倫理審査の申請が必要な方は報告書をきちんと提出してから卒業しましょうね


これだけ大変な倫理審査申請ですが、
研究を計画的に進めるための一つの指標としても使えます。
倫理審査申請書を提出しなくてはならないから、いつまでにこれを終わらせよう!
という一つの契機にしてみてください。
そして、申請書を作成する時には、
対象者の大事な時間をいただいている

という気持ちを忘れないでください。
対象者の負担をできるだけ少なくするために考えた結果、
修正の少ない申請書を作成することができます。
初めて申請書を作成する時は分からないことも多くて時間もかかります。
是非、気軽にLALAデスクに相談にいらしてくださいね

