発表準備について:不安を減らすためのポイント

20180723日(月)
こんにちは。ナターリアです。

皆さん、発表の準備をする時、技術にこだわりすぎてしまうことはありませんか?パワーポイントの見易さ、機能やアニメーションの多様性なども大事ですが、やはり、発表は、有意義な時間の流れの中で、聞き手にメッセージを納得しやすく伝えることが最も重要だと思いませんか?

発表に関する文献は多くあると思いますが、今日は、私自身の経験を生かして、発表をする時にどこを気を付ければよいのかを考えていきたいと思います。

発表者は誰でも緊張感を持ち、不安になると思いますが、こうした緊張感などをどうやって積極的な方向に切り替えればよいのでしょうか。

1)まずはしっかり内容の準備をします。そして、予行演習(単独も聴衆の前も)をするのはオススメです。

2)服装をきっちり決めます。発表の時、余計な緊張感がないように、自分が心地よい服が一番好ましいと思います。ズボンにするかスカートにするか;気分に影響を与えると言われている色を黒にするか明るくするか、などです。

3)できれば、発表する前に、現場を見に行きます(少し早めに)。その時、自分が発表する姿を想像しながら周りを見ると心の準備になります。

4)頭が真っ白になるぐらい不安な時は、深呼吸をすると良いでしょう。1人でいられるところで5回ぐらい大きく呼吸して、ゆっくり吐き出すと心が落ち着きます

5)発表の舞台に出る前に、または出た時、聴衆を見渡してみます。その時、一番積極的に反応してくれそうな人(笑顔、相づちするなど)を見つけるといいでしょう。発表をしながら違和感を感じることがあれば、この人の顔を見ると落ち着きます。しかし、ずっと同じ人を見るとおかしい印象を起こす可能性があるので、やめましょうね。

6)言葉遣いも大事ですね。学術的な発表なら、よりレベルが高いことばを使うでしょうけど、一般的な人の前に発表する場合、より簡単なことばのほうがふさわしいと思います。後者の場合、専門な語彙はある程度避けたほうがかもしれませんね。

7)声の調整を行うこともお勧めします。なぜならば、緊張すると話すスピードが速くなったり、つまずいたりすることがよくあるので、いつもよりゆっくり話すとよいでしょう。

8)発表をする時、ジェスチャーを使うとより語りやすくなります。もちろん、発表に関係ない動きをやめたほうがいいのですが、適度にジェスチャをするのはよいでしょう。実は、身体を使って説明することは、ストレスを軽減する1つの方法です。

9)もし、発表をする時、説明の流れにつまずき、頭が真っ白になることを心配しているようでしたら、小さなカードを作った方がいいかもしれませんね。発表のテーマは基本的にいくつかの部分に分けられていると思います(例:問題点、調査の手順・分析・考察、結論、など)。こうしたカードには各部分に応じたキーワードを1つ・2つぐらい作って、巡りながら発表したら、もし、万が一流れにつまずきそうになったら、カードをこっそり見ると、キーワードから言いたいことが思い出せます

10)発表が終わると質問時間になります。その時も心配しすぎて頭が混乱し、なかなか質問内容を整理しにくい現象が起こる時があります。答えについて考える時間を作るために、まずは質問者に「ご質問ありがとうございます」などをいうのは有効的です。

11)もし、質問に対してどうしても答えられない状況が起こったら、笑顔で「時間の制限のためこの質問に答えるのは今の所困難ですが、よろしければ、発表が終わってからゆっくり答えさせていただきます」「今後の課題とさせていただきます」と言ってもいいでしょう。

以上、自分の経験を思い出しながら書いてみました。もし、使ってみた方がいらっしゃいましたら、是非ご意見を教えてください!私は毎週月・水曜日にいますので、よろしくお願いします

#ナターリア

知っていると便利!外国語論文にみられる略号

20180719日(木)
 

暑い日が続いています。いかがお過ごしでしょうか?
あと半月ほどで夏休みですね。卒業論文・修士論文の研究のための論文集めは進んでいますか?研究論文を読む時には、本文を熟読するのは当然として、註や参考文献をあらためて見てみると、未知の研究に気づくこともあるかと思います。ひとつの論文を読むと、芋づる式に新たな論文や視点がみつかることもありますよね?

 

外国語の論文を読むと、日本語の論文では見かけない「略号」が出てくることがあります。私が卒業論文を書いていた時に、論文の註に“ibid.”という表記があり、「”ibid.”ってどんな本なんだろう?なんでも載っているすごい本なんだ!」なんて思っていました。今思えば恥ずかしい限りです(;_;)。以下のリストに示すように、”ibid.”とはラテン語の「前掲書」という意味の略号です。このように略号にはラテン語の略号がよく使われています。

 

そこで、皆さんご存知かもしれませんが、外国語論文に見られる主要な略号を以下に紹介します。


A

anon.

anonymous

作者不詳の、匿名の

B                                     

b. born 生まれ

Bd.

Band

C                                   

c.,©

copyright

著作権

c., ca.

circa

約、略(ラテン語)

cf.

confer (= compare)

比較、参照、参照せよ

comp.

compiler

編纂者

D                                         

d.

died

Diss.

Dissertation

学位論文

do.

ditto

同前、前述の(イタリア語)

E                                         

ed.

editor

編(集)者

eition

e.g.

exempli gratia (= for example)

enl.

enlarged

増補された

et al.

et alii, et aliae (= and others)

およびその他

etc.

et cetra (= and so on)

など

ex.

exanple, example

用例

F                                         

f., ff.

and the following pages

及びそれに続くページ

fac., facsim.

facsimile

複写、複製

fasc.

facscicle

分冊

H                                         

hb., hbk.

hardback

ハードカバー本(本装丁)

Hft.

Heft

分冊、号(ドイツ語)

Hg.

Herausgeber

編者

hrsg.

herausgegeben

出版された、編集された

I                                         

ibid.

ibi'dem

前揚誌、同誌(ラテン語)

id.

idem

同上、同書(ラテン語)

i.e.

id est

すなわち

ill., illus.

illustration

挿絵、実例、図解、図入り

inf.

infra

下に、以下に

intro., introd.

introduction

序文

L                                         

l., ll.

line (s)

l.c., loc.cit.

loco citato

上記引用文中に(ラテン語)

M                                       

mimeo, mimeogr.

mimeograph

謄写版印刷物(手稿コピー等)

m.s., mss., MS

manuscript (s)

原稿、写本、草稿

N                                         

n.d.

no date of publication

出版年不明

no.

number

n.p.

no place of publication

出版地不明

n.pag.

no pagination

頁づけなし

O                                         

op.cit.

opera citat

前掲書中に(直前ではなく以前に引用した文献を再度引用)(ラテン語)

P                                         

p., pp.

page (s)

ページ

par.

paragraph

節、段落

pat.

patent

特許

pb., pbk.

paperback

ペーパーバック本

pl.

plate

図版

plural

複数の

pref.

preface

序文、前置き、はしがき

pseudo.

pseudonym

雅号、ペンネーム

Pt., pt.

part

部、部分、分冊

pub., publ.

publisher

出版者

publication

出版物、逐次刊行物

published by

~の出版

R                                         

rev.

review, reviews

評論誌

rev.ed.

revised edition

改訂版

rpt., repn.

reprint, reprinted

重版、再版

S                                         

S.

Seite

ページ(ドイツ語)

sec., sect.

section

節、段落、欄、条(法令)

ser.

series

双書、シリーズ

[sic]

=so, thus

原文のまま(ラテン語)

s.l.

sine loco(=no place of publication)

出版地不明

s.n.

sine nomie(=without name)

出版者不明

supp.

supplement

補遺

T                                         

t., tom.

tome

、冊(フランス語)

tab.

table

リスト、目録

tr., trans.

translator, translation

訳者、翻訳

V                                         

viz.

videlicet

すなわち(ラテン語)

v., vol., vols.

volume (s)

Z                                         

Z.

Zeitschrift

雑誌(ドイツ語)

 


よかったら活用してみてください!
上記の略号は、論文注や、外国語論文の中でもよく見られます。
LALA文庫(C10)の『レポート・論文の書き方 上級 改訂版』の第2部論文の体裁 IV 略語(p.55-64)も参考にしてみて下さい。図書館で所蔵
しています(請求記号: 816/Sa47、図書ID: 015010077368)。



#後藤

修論体験談④ー研究と生活のつながり一例

20180705日(木)
いつもの癖で、スパっとまとめられずに長々と書いてしまいましたが、今回で完結といたします。
(これまでの記事はこちらからご覧ください)
修論体験談①ー不可欠だったなあと思うこと&環境面
修論体験談②ー個人の動機を突き詰める
修論体験談③-1ーなぜ「必要」なのかを考える
修論体験談③-2ー文献で「歴史」を辿る

今回お書きするのは、修士課程当時の生活全体と修論とのかかわりです。
まず申し上げないといけないのは、普通に考えたら、あまり褒められた例ではないということ。
こうしたほうがいい、という王道を示すというより、
もし王道を突き進めなかったら、こういう抜け道もありますよ、という一例としてお読みいただければ幸いです。

修論体験談①ー不可欠だったなあと思うこと&環境面
において、不可欠だった要素の三つ目として、修論に繋がる作業が、
「日常生活の中で実践でき、研究と生活が切り離されていなかったこと」
を挙げました。

■□■□■□■□
私は所属コースで扱うことがらとの「ずれ」に頭を抱えることがありました。

修士論文のテーマに選んだことがらを追究することと、所属コースのアドミッション・ポリシーには「ずれ」がある気がしていました。
なぜなら、専門ということになっている「児童文学」、その中でも特に「現代児童文学」は、一般の文芸作品とは分けて考えた方がいいのではないか?と思わざるを得ない側面を持っていたからです。

もちろん、所属コースの授業で学ぶ内容と、抱えているテーマとは、深いところで繋がっています。
ただ、一般的にイメージされる「日本文学」に属する作品に比べると、繋がっている場所を見つけるのに、とても頭を使う、エネルギーを使うなあという感じでした。授業で学ぶ「日本文学」のことがらと、テーマである「現代児童文学」のトピックを、どこでどう繋げるのか、が修士課程全体のテーマだったと言えます。

授業を受ける過程で、別の分野に出かけて、同じ分野の人と話しては、違う分野の人と話しては、テーマを抱える原因を作っているプライベートなことで、悩みっぱなしでした。
悩むことと混乱することに精力を注いでしまったため、単位は必要最低限をちょっと超えたくらいを取得するのがやっとでした。しかも、4単位は専攻外の集中講義、2単位は専攻の必修科目、2単位は他専攻の科目だったので、所属コースの科目の割合は相対的に少ないと言えます。
悩みそのものが研究の一部となりうる内容でなかったら、無事に2年間で修了はできなかったでしょう。

確かに、悩む過程でたくさん考えたことの一部は活きました。
所属コース生として求められる知識の不足分を、補えないながらも無理やり補って繕うスタイルでハッタリをきかせて乗り切れたのは、悩むことで頭のトレーニングをしたからでしょう。

ですが、知識や常識の不足は現在まで続く課題であり、逃げ切れるものではありません。
これからどう取り組んでいけばよいか、今でも気が緩むと頭の中がごちゃっとなります。
(これでいいのか、と問うほど足がすくんで動けなくなるので、あまり気にしないことにしていますが。)
■□■□■□■□
こういう修士課程生活を送った立場から言えることは、

○修士ならまだ失敗しやすいと思います
○自分の問題に取り組むツールとして研究を使っても許されやすいと思います
○だから、研究の支障となる性格面・メンタル面の欠点や懸念事項に取り組むなら今のうち!
○背伸びしすぎないで、入学時点で持っていたものをどう使い切るかって方向で考えるといいですよ!

ということでしょうか。

今回取り上げた例は、最初に書いたように褒められたものではありません。
しかし、どうしようもなくこういう生活になってしまった、ということが現実であり、そこから出発するしかないのです。
それでも、本人としては、「そこからでも出発できる」と思いたい。
そういう気持ちで一連の記事を書かせていただきました。

今回はこれで終わりです。お読みくださって本当にありがとうございました。

#みあ