最近気になった本

20180116日(火)
こんにちは。ゆ~りです。

年が明けて晴れた日が続き,気持ちのよい年始となりましたね!
しかし,一段と寒気が増している気がします。みなさん外出するときは暖かくして体調管理には十分気を付けてくださいね。

ところで、今回ご紹介したい本は、アメリカのフリー・ジャーナリストのポール・タフ氏が書いた『Helping Children Succeed:私たちは子どもに何ができるのか-非認知能力を育み、格差に挑む』(英治出版)です。著者は、子供の貧困と教育政策に関する執筆や講演活動を多数行っています。
私は、海外の学校中退をする子どもたちの家庭的背景の研究を通して、家庭の経済的な貧しさも重要な学校継続を阻害する要因だけれども、それよりも何よりも親子間のコミュニケーション、躾の仕方、親子間で愛着が感じられているかどうかの方が、子どもの健全な発達・発育、学ぶ意欲、物事を継続する力などに重要なのではないかと考えていました。この本は、アメリカの最新の研究結果をふんだんに取り入れ、こういった非認知的能力―著者の言う「やりぬく力」「自制心」「意欲」「社会的知性」「感謝の気持ち」「オプティミズム」「好奇心」―の重要性について言及し、非認知的能力を育てる学校現場の取り組みを紹介しています。

2013年に公立学校に通う「低所得層」の生徒が過半数を超えたアメリカの現状と日本の現状とは違いますが、例えばテストの点数に代表されるような目に見える能力とは別に、内面にもつ個々人の性質や性格のようなものをどのように伸ばしていくのか、またそれを評価する方法はあるのかにも言及しています。

一番大切なことは、「三つ子の魂百まで」ということわざ通り、こういった非認知的能力は子どもの幼いころの「環境」―それは周りの人との人間関係を含む―で決定してしまうということです。そして著者は、心理学や神経科学など様々な研究者らの結論を紹介し、環境による影響の中で子どもの発達を最も左右するのはストレスであると明らかにしています。逆境の中で育った子どもは、彼らが幼いほど体内の複雑なストレス反応ネットワークに強い影響を及ぼし、周りのトラブルに備えるためすぐに「闘争・逃走反応」とも言われる脅威検知システムが作動するようになると説明しています。それは危険な環境では利点はあるが、長期になると様々な免疫系の機能障害や脳の発達に影響を及ぼし,感情面や認知面での制御能力の発達を阻害すると述べています。

低所得層の人々が住む環境が、いかに人間にとってストレスをもたらす因子が多いかこういったことからもうかがい知ることができますが、それを学校の学習・生活環境において,教師との関わりの中で少しずつ改善していく取り組みをアメリカでは始めています。
お茶大の生協でも販売されていましたので、ぜひご一読ください!
近日中にお茶大図書館にも入る予定です。
☆図書館に入りました!(2018.2.15)
  図書館(一般図書) 371.4/To75
OPAC検索結果 → http://www.lib.ocha.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB24456348

格差社会において、私たちは何ができるのかを改めて考えさせられる一冊となると感じています!

#ゆ〜り