初歩的なレポートを書く(2)ー立場を相対化させる

20180123日(火)
前回は、小論文と読書感想文の性質を比べながら、レポートに求められる要素を考えました。

・小論文で課されるような、「論理的思考に基づいて、テーマに沿った、説得力のある文章を仕上げること」
・読書感想文で課されるような、「柔軟な視点を持ち、自分なりの思索を深め、課題に対してオリジナリティのある向き合い方をしてきたことを文章で表現すること」

この両方がレポートでは必要とされ、出発点は柔軟な視点や自分なりの思索、ゴールは、課題に対する論理的な追究と文章化とまとめられると述べました。

それでは、「柔軟な視点を持って思索すること」と、「課題に対して論理的に追究すること」の違いはどこにあるのでしょうか?
それは、一言で言えば、「自分の立場を相対化しているかどうか」だと思っています。

感想は、自分の感じたことを軸として展開できるものです。ですから、その文章の中で、自分自身の視点が絶対化されていて良いのです。
しかし、論理的な文章で自分の視点を述べる際には、具体的な根拠を示して立場を相対化する必要があります。
そうしなければ、客観的な見解としての説得力がないからです。

感想文が、中で展開される書き手の世界観に読み手を引き込み、共鳴させることを目的とする文章だとすると、
小論文などの論理的な文章は、自分の視点を読み手を含む外側の世界に投げ入れ、外側の世界にある具体的な事柄と関連づける文章と言えます。
別の事象との関連づけを行うことによって、自分の視点が自分の視点だけではなくなり、普遍性を持った事柄として読み手に認識される可能性が高まるのです。

もちろん、感想文などの主観的な文章でも、ある程度の論理的な組み立ては成されることと思います。
秩序がなければ文章として内容のまとまりがなくなり、読み手が理解できるものではなくなるからです。
しかし、多少の飛躍や、他者には想像できないような独自の関連づけが文章の味として評価されることもあるのが主観的な文章の特徴でしょう。

以上の事柄を踏まえて、初歩的なレポート課題に取り組む時に考えたいことを次回にまとめたいと思います。

#みあ