はじめましてのご挨拶と研究の紹介⑴ 〜「音楽学」について〜

20180618日(月)
はじめまして!
今年度より新しくLALAのメンバーに加わりました木村です。
勤務開始から早2ヶ月が経ちましたが、まだまだ手探り状態…
学生の皆さんからいただく質問を一緒に考えながら、たくさんのことを学ばせてもらっています。
皆さんにより有益な情報を提供できるように、またより皆さんの考えや思いに沿ったお答えができるように、広く深い学びを実践していきたいと考えております。
どうぞよろしくお願いいたします!

さて、今回がはじめてのLALA Tips投稿になりますが(緊張しています…汗)、
自己紹介を兼ねて私の研究についてお話ししたいと思います。

4月19日の記事にてすでにご紹介いただいていますが、私の専攻は「音楽学」です。

「音楽、学……!?」
「音楽を、”研究”するの…?」
「そもそもお茶大にそんなことやってるところがあるの?」

など、さまざまな”はてな”が浮かんでくることと思いますが…
あります、「音楽学」!お茶大に!

「音楽学」とは、英語で musicology、ドイツ語で Musikwissenschaftです。
Musik は「音楽」、Wissenschaft は「知識」といった意味ですが、
ここでわざわざドイツ語表記を挙げた理由は、まさに19世紀後半のオーストリアにおいて体系づけられていった学問だからです。
オーストリアの音楽学者グイド・アドラーGuido Adler(1855-1941)は、1884年に創刊された季刊誌『季刊音楽学』”Vierteljahrsschrift für Musikwissenschaft”において、初めて音楽学を体系的に論じました。
(”Musikwissenschaft”という語自体も、使われ始めたのは1820年代後半からです)
近代の所謂”科学的な”学問として語られるようになったのはこの頃からなので、そういう意味では比較的”新しい”学問と言えるかもしれません。

では、音楽を”学問”として考えるとき、どういった具体的項目が思い浮かぶでしょうか…
例えば、

・「音楽史」…音楽の”歴史”について研究する。
・「作品研究」…音楽の”作品”そのものを研究する。
・「音楽教育学」…音楽の”教育”について考える。

(項目の次元がバラバラですが、ひとまず分かりやすさのために。ご容赦ください)
このあたりは想像しやすいでしょうか。専門としていなくとも耳にしたことがある人は一定数いらっしゃるかもしれません。
しかし音楽の持つ様々な側面を考えるとき、もっと広がりが出てくるかと思います。例えば、

・音楽社会学
・音楽心理学
・民族音楽学
・音楽美学
・音響学

といったものが音楽学の分野・領域として存在します。
「音楽社会学」や「音楽心理学」はその名の通り、それぞれの学問領域の共通範囲に属していますし、
「民族音楽学」では、研究の対象が世界中の音楽へと広がります。
「美しい(良い)音楽とは何か」を考える「音楽美学」は、人文科学の究極とも言える「哲学」と切り離せない関係にありますし、
「音響学」は、音楽の物理的な側面に焦点を当てた、かなり”理系”寄りの領域と言えます。

ここに挙げたものはほんの一部ですが、このように音楽は、他の学問領域と結びついて様々な形・方法で研究されています。
「音楽学」の様相は、対象とする”音楽”そのものと同じく、実に多様なのです。
(その性質ゆえ、ここに挙げた分類も一例でしかありませんし、各領域の垣根もかなり低く、流動的と言えます。興味のある方は是非調べてみてください!)

では、この多様な「音楽学」を専攻として、私は具体的にどんな研究をしているのか…
次は、今までの卒論や修論での体験を交えながら、具体的な研究内容について少しお話ししたいと思います。
次回へ続きます!


#木村