論理的な議論を創造するためのトレーニング
2019年01月16日(水)
みなさんは大学の講義やゼミなどで、有効な質問を投げかけ、論理的な議論を創出することができていますか?
あるいは、相手の主張やそれを支える根拠を、分析的・批判的に捉えることができているでしょうか?
これらのことは、私自身も大学で学んでいく中で日々課題として悩み、苦戦している部分です。
そこで今回は、以上のような課題について有効な訓練方法を提示している書籍を、LALA文庫の中からご紹介したいと思います。
三森ゆりか著『大学生・社会人のための言語技術トレーニング』(LALA文庫 H3)
(貸出を希望される方は2階の一般図書の本をご利用くださいね。所在:図書館一般図書、請求記号:816/Sa65 OPAC検索結果はこちら)
タイトルにある「言語技術」という言葉、皆さんはご存知でしょうか…?
本書によれば、「言語技術」とは”Language arts”の訳語で、「思考と表現の方法論を具体的なスキルとして指導する総合的な体系」(p.6)です。
「思考と表現」とあることからも分かるように、これは①情報をインプットし(読む・観る・聞く)、②それについて考え(批判的・論理的・分析的・多角的・創造的思考etc.)、③自らの考えをアウトプットする(話す・書く)という、一連のプロセスすべてについて関わってくるものです。(p.3-7参照)
上記のようなスキルを鍛えるために、本書では対話・物語・要約・説明・報告・記録といった細かなシチュエーションに分けて詳しく解説されています。また解説だけでなくトレーニング課題もかなり充実しています。実際に説明文や物語を読んで、考えたり書いたりするものから、課題の対象を複数人で分析してディスカッションをするものなど、そのやり方はさまざまで且つ具体的・実践的です。
また、本書の中で特に興味深いのが、第3章「クリティカルリーディング」の中にある「絵の分析」です。これは絵を分析的に読み、書かれた事実に基づいて解釈していく方法で、絵を使って「分析の手法」そのものを習得し、効率よく読解力を向上させることができます。これは実際に、本書の著者が日本の幼児から高校生を対象に行ってきた方法だそうです。
確かに、情報が絵として一つにまとめられていると、「分析的に読み取る」というよりは、「どんなことが描いてあるかな〜」と探していく感覚で楽しめます。
情報を正しく読み取り、分析的・批判的に考え、それを論理的に表現していくという、これらの一連のプロセスは、自ら創造していく大学での学びにおいてそれぞれに重要な役割を持つことは勿論ですが、社会人になってからもほとんど当たり前のように求められるスキルなのではないかと思います。
一般教養をほとんど終えて、いよいよ卒業研究や就職活動が視野に入ってくる学部3, 4年生の方や、今まさに創造的な研究を推し進めている院生の方にも、ぜひ読んでいただきたい書籍です!
#木村
あるいは、相手の主張やそれを支える根拠を、分析的・批判的に捉えることができているでしょうか?
これらのことは、私自身も大学で学んでいく中で日々課題として悩み、苦戦している部分です。
そこで今回は、以上のような課題について有効な訓練方法を提示している書籍を、LALA文庫の中からご紹介したいと思います。
三森ゆりか著『大学生・社会人のための言語技術トレーニング』(LALA文庫 H3)
(貸出を希望される方は2階の一般図書の本をご利用くださいね。所在:図書館一般図書、請求記号:816/Sa65 OPAC検索結果はこちら)
タイトルにある「言語技術」という言葉、皆さんはご存知でしょうか…?
本書によれば、「言語技術」とは”Language arts”の訳語で、「思考と表現の方法論を具体的なスキルとして指導する総合的な体系」(p.6)です。
「思考と表現」とあることからも分かるように、これは①情報をインプットし(読む・観る・聞く)、②それについて考え(批判的・論理的・分析的・多角的・創造的思考etc.)、③自らの考えをアウトプットする(話す・書く)という、一連のプロセスすべてについて関わってくるものです。(p.3-7参照)
上記のようなスキルを鍛えるために、本書では対話・物語・要約・説明・報告・記録といった細かなシチュエーションに分けて詳しく解説されています。また解説だけでなくトレーニング課題もかなり充実しています。実際に説明文や物語を読んで、考えたり書いたりするものから、課題の対象を複数人で分析してディスカッションをするものなど、そのやり方はさまざまで且つ具体的・実践的です。
また、本書の中で特に興味深いのが、第3章「クリティカルリーディング」の中にある「絵の分析」です。これは絵を分析的に読み、書かれた事実に基づいて解釈していく方法で、絵を使って「分析の手法」そのものを習得し、効率よく読解力を向上させることができます。これは実際に、本書の著者が日本の幼児から高校生を対象に行ってきた方法だそうです。
確かに、情報が絵として一つにまとめられていると、「分析的に読み取る」というよりは、「どんなことが描いてあるかな〜」と探していく感覚で楽しめます。
情報を正しく読み取り、分析的・批判的に考え、それを論理的に表現していくという、これらの一連のプロセスは、自ら創造していく大学での学びにおいてそれぞれに重要な役割を持つことは勿論ですが、社会人になってからもほとんど当たり前のように求められるスキルなのではないかと思います。
一般教養をほとんど終えて、いよいよ卒業研究や就職活動が視野に入ってくる学部3, 4年生の方や、今まさに創造的な研究を推し進めている院生の方にも、ぜひ読んでいただきたい書籍です!
#木村