バリアフリーと情報保障
2019年05月10日(金)
こんにちは、はじめまして!
2019年4月からLALAデスクに週2回います、ジャニス(ジェンダー社会科学専攻)です。
きょうは、バリアフリーと情報保障について、ご紹介します。
さて先日小林さんがブログで紹介されていた書籍『伝わるデザインの基本』の増補改訂版が2016年に出ました。まもなくLALA文庫と開架にも入るとのこと、ぜひご利用ください。
こちらは書籍版の方が断然情報量が多くておすすめなのですが、こちらの本の著者によるウェブサイトもあります。http://tsutawarudesign.com/tsutaeru.html
このサイトの「バリアフリー」のタグをクリックすると、視覚の多様性に配慮した、配色や書体・フォントについて、どのような工夫があるのかが紹介されています。
このウェブサイトにあるように、「見え方の状況は個人差が大きいため、全ての人にとって見やすい資料を作ることは難しいと思われますが、何も配慮がなされていない資料よりは、少しでも見やすく配慮された資料の方がより多くの人に情報を伝えることができるはずです。」
では、具体的にどのような配慮ができるでしょう。
以前から比較的知られているものとしては、色覚バリアフリーの取り組みがあります。
そもそもどんなバリアがあるのかは、こちらのサイトに詳しいです。「色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法」 (2005) https://www.nig.ac.jp/color/gen/
わたし自身、このサイトで、「区別が必要な情報を色だけに頼って識別することを強制しない」「色なしでも理解できるようにデザインし、その上で強調のために副次的に色を添える」ということを学びました。
その他、最近とくに注目されているものとしては、判読性の高いユニバーサルデザインフォント(UDフォント)があります。UDフォントを初めてみる人は、たいていその見易さに驚きます。普段のレポートやレジュメのフォントをUDフォントに変えてみるのもおすすめです。
ちなみにUDフォントの一つである「UDデジタル教科書体」はWindows 10に搭載されています。どんな見え方の違いがあるのかはこちらで試すことができます。https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/3763
こうした工夫を情報保障という点から捉え直すと、情報保障にはユニバーサルデザイン=「だれでも利用できるかたちにすること」に加えて、ユニバーサルサービス=「すべての人にサービスをとどけること」が欠かせません。(あべ 2015:97)ユニバーサルサービスのめざす、情報をとどける工夫には、他言語への翻訳・通訳や、視覚テキストの読み上げや、文字情報を図解することなどが含まれます。
今年の初めには、こんな記事がありました。
「参考書点訳、数カ月待ち 勉強、仕事に支障」(毎日新聞2019年1月7日 東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20190107/ddm/003/040/070000c
大学教育や研究の場で情報発信や伝達がうまくいかない理由は複合的です。個々人の工夫で解消できるバリアだけではないので、組織や制度の面から様々な取り組みがされています。
以下リンクのみ挙げます。お茶大でもこんな配慮や継続的な支援の仕組みがあればいいな、と思うものがあるかもしれませんね。
・東京大学バリアフリー支援室 (2016)「障害のある学生へのバリアフリー支援ガイド」PDF http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/material/pdf/20160421132857.pdf (2019年5月8日アクセス)
・神戸大学 キャンパスライフ支援センター サポートの流れについて > 修学上の配慮について http://www.kobe-u.ac.jp/SCCL/support/consideration.html (2019年5月8日アクセス)
参考文献
あべ・やすし著 (2015)『ことばのバリアフリー : 情報保障とコミュニケーションの障害学』 (生活書院) ← 請求番号:369/A12 (お茶大図書館にもあります!)
#ジャニス
2019年4月からLALAデスクに週2回います、ジャニス(ジェンダー社会科学専攻)です。
きょうは、バリアフリーと情報保障について、ご紹介します。
さて先日小林さんがブログで紹介されていた書籍『伝わるデザインの基本』の増補改訂版が2016年に出ました。まもなくLALA文庫と開架にも入るとのこと、ぜひご利用ください。
こちらは書籍版の方が断然情報量が多くておすすめなのですが、こちらの本の著者によるウェブサイトもあります。http://tsutawarudesign.com/tsutaeru.html
このサイトの「バリアフリー」のタグをクリックすると、視覚の多様性に配慮した、配色や書体・フォントについて、どのような工夫があるのかが紹介されています。
このウェブサイトにあるように、「見え方の状況は個人差が大きいため、全ての人にとって見やすい資料を作ることは難しいと思われますが、何も配慮がなされていない資料よりは、少しでも見やすく配慮された資料の方がより多くの人に情報を伝えることができるはずです。」
では、具体的にどのような配慮ができるでしょう。
以前から比較的知られているものとしては、色覚バリアフリーの取り組みがあります。
そもそもどんなバリアがあるのかは、こちらのサイトに詳しいです。「色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法」 (2005) https://www.nig.ac.jp/color/gen/
わたし自身、このサイトで、「区別が必要な情報を色だけに頼って識別することを強制しない」「色なしでも理解できるようにデザインし、その上で強調のために副次的に色を添える」ということを学びました。
その他、最近とくに注目されているものとしては、判読性の高いユニバーサルデザインフォント(UDフォント)があります。UDフォントを初めてみる人は、たいていその見易さに驚きます。普段のレポートやレジュメのフォントをUDフォントに変えてみるのもおすすめです。
ちなみにUDフォントの一つである「UDデジタル教科書体」はWindows 10に搭載されています。どんな見え方の違いがあるのかはこちらで試すことができます。https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/3763
こうした工夫を情報保障という点から捉え直すと、情報保障にはユニバーサルデザイン=「だれでも利用できるかたちにすること」に加えて、ユニバーサルサービス=「すべての人にサービスをとどけること」が欠かせません。(あべ 2015:97)ユニバーサルサービスのめざす、情報をとどける工夫には、他言語への翻訳・通訳や、視覚テキストの読み上げや、文字情報を図解することなどが含まれます。
今年の初めには、こんな記事がありました。
「参考書点訳、数カ月待ち 勉強、仕事に支障」(毎日新聞2019年1月7日 東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20190107/ddm/003/040/070000c
「紙の出版物を利用できない障害者向けの本や雑誌は少なく、勉強、趣味、仕事とさまざまな面で社会参加の障壁になっている。出版物の電子データが提供されれば読書環境が大きく改善される可能性があるが、毎日新聞のアンケートからも、海賊版被害を懸念する出版業界の抵抗感が根強いことがうかがえる。」
大学教育や研究の場で情報発信や伝達がうまくいかない理由は複合的です。個々人の工夫で解消できるバリアだけではないので、組織や制度の面から様々な取り組みがされています。
以下リンクのみ挙げます。お茶大でもこんな配慮や継続的な支援の仕組みがあればいいな、と思うものがあるかもしれませんね。
・東京大学バリアフリー支援室 (2016)「障害のある学生へのバリアフリー支援ガイド」PDF http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/material/pdf/20160421132857.pdf (2019年5月8日アクセス)
・神戸大学 キャンパスライフ支援センター サポートの流れについて > 修学上の配慮について http://www.kobe-u.ac.jp/SCCL/support/consideration.html (2019年5月8日アクセス)
参考文献
あべ・やすし著 (2015)『ことばのバリアフリー : 情報保障とコミュニケーションの障害学』 (生活書院) ← 請求番号:369/A12 (お茶大図書館にもあります!)
#ジャニス