リサーチペーパーの始め方 (4):スケジュールを考える

20191004日(金)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。

リサーチペーパーの始め方4回目はスケジュールについて考えます。
● リサーチペーパーの始め方 目次
第1回 下調べのまえに
第2回 資料を特定する
第3回 全体の構成を考える
第4回 スケジュールを考える

リサーチペーパーの魅力であり辛いところは執筆そのものより、リサーチのかなりの部分を「今回は」使わないということです。時間と労力を割いたのに、「今回の」ペーパーには使えないことがままあります。スケジューリングに際してはその無駄とも思える時間を勘定に入れておく必要があります。

■ 必要な作業段階をあげてみる
リサーチペーパー完成までに必要な段階をあげてみましょう。
重要なことは、どこかで必ず他の人に相談する予定を入れておくことです。

作業に取りかかった初めの数日以内にLALAデスクの予約を取っておいて、その日を目標に何番目かの段階まで進めていくというのもおすすめです。ペースメイカーにするつもりで気軽に利用してみてください。

例として作業項目をあげてみました。
この辺りで人と話すとよいのではと思われるところに◆を入れています。すべての◆で人と話さなくてはならないという意味ではありません。もちろんこの通りに作業をすすめるべきということではありませんが参考にしてみてください。

1. トピックを決める
◆ a
2. 分野の必読文献を見つけて読む
3. テーマと内容の方向性を決める
4. アウトラインを書く
5. 参考文献を探して一覧にする
◆ b
6. アウトラインを書き直す
7. 各論点について調べ、ノートを取る
8. 第一稿を書く
◆ c
9. 書き直し
10. 不足している調べものをする
11. 最終稿を書き上げる
12. 表紙含めた体裁を整える
◆ d
13. 完成

■ 他の人に意見を聞くときのコツ
一度だけ他の人に相談するのなら、トピックを決めてテーマについて考え始めたあたり(a)や、最初のアウトラインを書き参考文献の候補を見つけてきたあたり(b)で他の人の意見を聞くのがおすすめです。

第3回の最後で紹介したようなペーパーの概要(1. タイトル、2. 問題の所在(400-600字、英語なら250単語)、3. 主題文(80字、英語なら25単語)、4. アウトライン、5. 参考文献リスト)をA4サイズ2ページにまとめたうえで相談するとよいかもしれません。

この段階で大きな方向転換をしなくてはならなくなったとしても、問題はあまりありません。トピックやアプローチの変更や、全体構成を大きく変えても間に合います。アドバイスをする側にとっては負担が少なく、アドバイスをされる側にとっては短い時間でもリサーチペーパーの核に踏み込んだ有益な助言を得られる可能性が高くなります。

第一稿を書き上げたあと(c)など、何かしら原稿ができた時点で人に意見を聞くときは、フィードバックを受け取るまでに時間がかかります。場合によっては数日かかるかもしれません。何千字、何万字という長さの文章を読んだ上で全体の構成について意見を聞きたい場合も、構想時点で概要をまとめたうえで相談したように、文章からアウトラインを作り、それについての意見をもらった方が現実的かもしれません。

■ リサーチに専念できる時間を逆算する
提出締め切りまでの時間から、執筆・編集・印刷校正して完成するまでの時間を引いたものがリサーチに専念できる時間になります。

■ 執筆にかかる時間を取る
800字のまとまった文章を書くのにどのくらいかかりますか。試験だと1時間以内で書き上げた経験のある人も多いでしょう。この経験をもとに推測すると4000字は5時間あれば書き上げられそうです。(じっさいそうやって乗り切った経験がある人も多いでしょう。) 

ただ800字は一息でかける人でも4000字となると途中で休憩が必要になるかもしれません。最初の800字と最後の800字ではかかる時間は同じとは限りません。文字を打ち印刷するだけの作業にかかる時間だけでは書き上がらない可能性もあります。

アウトラインがしっかりできていて、調べ物が済んでいれば、執筆そのものにかかる時間は全体のなかでそこまで長くなりません。調べ物がほぼ終わった状態で一続きの文章を書き上げるのであれば、予定は立てやすくなります。逆に執筆作業のあいだにも調べ物をしていると、執筆にかかる時間は長くなります。

■ 編集・改稿(書き直し)にかかる時間を取る
短めの課題であれば短時間で書き上げてそのまま提出することができるかもしれません。けれども長い課題の場合は、あらかじめ書き直しをする時間を取っておいた方がよいです。そしてこの作業は意外と楽しく夢中になってしまいやすいことも覚えておきましょう。作業を始めてからは予定時間をオーバーしないように注意しましょう。この日は書き直しに割くと決めたら、その日にできる限りのことをして諦めることが必要かもしれません。

書き直しは、よく言われるように少し時間をおいて新鮮な状態で取りかかった方がよいので、一晩寝たあとに読み返し改稿する時間を取るようにします。

■ 仕上げにかかる時間を取る
逆に最終的な体裁を整え校正するのは、全く楽しくないのに意外なほど時間と労力を費やしてしまいやすい作業です。書き上げたものを音読し誤字脱字や引用箇所や注、参考文献表の確認作業を始めてみると、印刷を終えるたびに新たな訂正箇所が見つかり、きりがないということが起こります。また技術的な問題が起こりやすいのもこの段階です。

初めてきちんとしたリサーチペーパーを書く場合、最後の最後で様式や体裁の疑問が出てきたりします。なので想定の3倍くらいの時間をみておいた方がよいかもしれません。

リサーチペーパーの始め方 [第1回] [第2回] [第3回

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