LALA文庫紹介『哲学の道具箱』

20191210日(火)
こんにちは、LALAの小林です!

先行研究を読む際には相手の足りない部分を発見する批判的な視点が必要ですが。
でも、どんなところに注目すればいいのかよくわからなかったり、的外れな批判をしてしまったりすることもありますよね。
そんな時は、論理学の力を借りて自分や他人の論を見直してみてはいかがでしょう!

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『哲学の道具箱』
著者:ジュリアン・バッジーニ/ピーター・フォスル
訳者:長滝 祥司/廣瀬 覚
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こちらは哲学で使われる重要な概念を簡単に説明した本です。
哲学の入門として利用できるほか、自分や他人の議論を検証する際にも役に立ちます。

おすすめポイント

●議論でよく聞く用語をしっかり理解できる
「循環」「トートロジー」「論点先取」などは議論でよく聞く用語ですが、ちゃんと理解できているか怪しい…なんてことありませんか?
この本ではそうした論理学の基本的な用語が解説されているので、意味をしっかり理解して議論を正確に進めるのに役立ちます。
また、上手くいっていない論証の例が論理学の用語に従って細かく分類されているので、自分や他人の論理が間違っている原因を見つけるヒントにもなります。

●気になる項目だけ確認できる辞書形式が使いやすい

目次を見ると小難しい用語が並んでいますが、解説はそれぞれ1p~2pほどとコンパクトにまとめられているので気軽に読むことができます。
辞書のように必要なところだけ引いてちょっと読むという使い方ができるので、気分転換のパラ読みにおすすめです!
解説では関連項目も紹介されているので、内容を広げていくこともできますよ。

●重要な事例紹介で理解が広まる
身近な具体例の豊富さもさることながら、哲学史的に有名な事例が紹介されているのも大きなポイント。
具体的な論争を元に「反例」や「両刀論法と角」などの論証方法が解説されているので、哲学の入門書として役に立つのはもちろん、専門外の人も用語と論争を結びつけながら理解することができます。

とくにおすすめ👉「第三章 論証評価のツール」



タイトルに「哲学の」とありますが、ここで紹介されている議論の方法は哲学の枠を超えて広く使えるものばかりです。
とくに、既存の論の反証方法が多数紹介されている第3章は、先行研究や文献に対してどう批判を加えたら効果的か考えるヒントになると思いますよ。


LALA文庫には続々新刊が追加されています。
紹介しおりも配布中ですので、是非チェックしてみてくださいね!

小林