テーマやトピックは決まっているけど、どうしたらいいのか分からないとき
2020年01月09日(木)
こんにちは、月曜日11-13時と金曜日15-17時にLALAデスクにいます、ジェンダー社会科学専攻のジャニスです。
(本日2020年1月9日木曜日11-13時は臨時で在席しています。)
今回はレポートや論文で書くべきテーマやトピックは決まっているけれど、そこからどうしたいいのか分からないときにヒントを見つけられそうな方法をご紹介します。もちろんLALAデスクにも相談にきてくださいね〜。
■ 何から始めればいいか分からない(授業課題からヒントを拾う)
授業で扱ったことのあるトピックならば、授業ノートや課題文献、参考文献としてあげられたものを読み返してみましょう。文献についていえば注釈まで丁寧に読みます。そのなかで、講義を聞いて板書を写したときや、前に読んだときには気づかなかった、論理的な飛躍や説明不足に感じるところはないでしょうか。
授業でやったことを踏まえたうえで何か別のことについて調べて書く課題の場合も、手元にある資料にヒントが埋もれていることはよくあります。学んだあとに読み返すと疑問が湧いてくることも、知識を得て思考が深まったあとに最初からぼんやりと抱いていた違和感が増大することもあります。そういった疑問のかけらを恐れずつかまえるつもりで復習してみましょう。
こうした復習作業は必ずしも一人でやる必要はありません。他の受講生と複数で一緒にやるのもありですよ。
■ 何から読めば分からない(手がかりが多すぎる)
あれもこれもやらなければならない、読まなければならないけれど、どれからやればいいのか分からない。やるべきことは分かっているつもりなのに、優先順位が分からなくて何も始められないときはどうしましょう。
入門書に立ち戻るのも一つの方法です。ここでいう入門書というのは、研究者が自身の専門分野について一般の人向けに分かりやすく書いたもののことです。新書や選書の形態であることも多いので、お茶大図書館の文庫本・新書の棚に行って探索するのもおすすめです。(インターネットには新書マップという楽しいサイトがあるのですが、新書という出版形態が一定の質を保証するものではないことには注意が必要です。)新書で飽き足らない場合は放送大学のテキストの棚も見てみましょう。そしてできれば同じテーマやトピックを扱っている本を複数冊読んでみます。
いくつか集めたら複数の入門書を発表された順に並べ、古いものから新しいものにかけて、繰り返し参照される理論家や研究者による書籍や論文を見つけて、次の調べ物につなげます。
じつはテーマやトピックを決めるときには、課題を仕上げるまでの時間と書き上げる文章の長さで自動的に決まるところがあります。なので、このやり方だと少し大きめのテーマにたどりつくことになります。そういうときは次のやり方はどうでしょう。
■ 1件目の文献を「ちゃんと読む」
もしも課題に取り組むにあたって文献が指定されている場合、あるいはそのテーマやトピックについて書くなら必読とされる書籍や論文が判明している場合、それを読みます。一人の著者による複数の文献が必読なら、発表年の早いものから読んでいくと理解しやすい可能性が高いです。読みきれないほどの数があるのなら、よく引用される短めのものをまずは選んでみます。
文献を「ちゃんと読む」感覚がつかめないときは、読んで書くところまで時間と字数の制限を決めて要旨を書いてみます(たとえば6時間以内で読み終えて1600字以内で要旨を書きあげるところまでやる)。要旨を書きあげたら、じつは知識がなかったり難解すぎて簡潔にまとめられず入れ込むのを諦めたり誤魔化したりした自覚のある部分はないでしょうか。そこから 文章を書く具体的なアプローチにつなげることもできます。「ちゃんと読む」作業をしたあと、あるいは要旨を書いたあとに、ブレインストーミングやフリーライティングといったアイデア出しの手法を試してみるのもいいかもしれません。
「ちゃんと読む」ときは巻末註や参考文献リストまで確認することを自分に課します。「確認」というのは少しでも疑問に思うことがあれば元の情報源にあたる、ということです。確認してみたものの、腑に落ちない、もう少し調べたい、きちんと整理して考えたいと思ったところがあれば、そのタネを育ててみます。
■ お茶大図書館の蔵書検索結果を使いこなす
じつをいうとどんな学術データベースを使ったとしても、経験の浅いうちは質の良い優れた論文を探し出すことは容易ではありません。悲しいことに質の高くない論文との出会いは当該分野の初学者にこそ起こります。使いこなすこと自体が難しい論文のデータベースと比べると大学図書館にある書籍のセレクションはずっと頼りになります(ちなみにオンライン書店の検索機能はそれ自体が研究対象でないのなら学術目的の調べ物には全く向きません)。アカデミックな調べ物があるときは何はともあれCiNii Booksを含め大学図書館の蔵書データベースを活用しましょう。
お茶大図書館の場合、検索結果の詳細の下の方に類似資料が並んでいます。レポートなどのテーマ探しの段階や、具体的に参考になりそうな文献を探しているときには、この欄にも注目してみます。
複数の著者による書籍であれば、目次の詳細も見てみます。論文集の場合、同内容のものが個別の論文として発表されていることがあります。執筆者の名前などで検索すると元の論文や類似テーマの文献が公開されていることもあるので、書籍そのものがお茶大図書館になくても論文がないか探してみましょう。
■ CiNii Booksを経由してGoogle Scholarを使う
お茶大図書館の蔵書を含め、CiNii Booksの検索機能と並行し、その検索結果から得られた著者名や書籍や論文のタイトル、キーワードを使って、 Google Scholarでも検索をしてみます。Google Scholarのよいところは標準的な検索結果表示が引用件数順なので、「ハズレ」の文献に最初に当たることが比較的少ない点です。なので、漠然と調べてそこからインスピレーションを得て書くタイプの人にもGoogle Scholarはおすすめです。
お茶大の学内ネットワークでGoogle Scholarを使うと検索結果から直接全文が読めるリンクが示されることもあります。また「引用元」の情報を確認すると、その文献を引用している論文や書籍に行き当たるので、重要な研究を批判的に継承した研究を探す場合にも便利です。ぜひ一度試してみてください。
通常の方法以外に、Google Scholarは条件を指定しての検索もあります。
#ジャニス #レポート・論文 #情報検索
(本日2020年1月9日木曜日11-13時は臨時で在席しています。)
今回はレポートや論文で書くべきテーマやトピックは決まっているけれど、そこからどうしたいいのか分からないときにヒントを見つけられそうな方法をご紹介します。もちろんLALAデスクにも相談にきてくださいね〜。
■ 何から始めればいいか分からない(授業課題からヒントを拾う)
授業で扱ったことのあるトピックならば、授業ノートや課題文献、参考文献としてあげられたものを読み返してみましょう。文献についていえば注釈まで丁寧に読みます。そのなかで、講義を聞いて板書を写したときや、前に読んだときには気づかなかった、論理的な飛躍や説明不足に感じるところはないでしょうか。
授業でやったことを踏まえたうえで何か別のことについて調べて書く課題の場合も、手元にある資料にヒントが埋もれていることはよくあります。学んだあとに読み返すと疑問が湧いてくることも、知識を得て思考が深まったあとに最初からぼんやりと抱いていた違和感が増大することもあります。そういった疑問のかけらを恐れずつかまえるつもりで復習してみましょう。
こうした復習作業は必ずしも一人でやる必要はありません。他の受講生と複数で一緒にやるのもありですよ。
■ 何から読めば分からない(手がかりが多すぎる)
あれもこれもやらなければならない、読まなければならないけれど、どれからやればいいのか分からない。やるべきことは分かっているつもりなのに、優先順位が分からなくて何も始められないときはどうしましょう。
入門書に立ち戻るのも一つの方法です。ここでいう入門書というのは、研究者が自身の専門分野について一般の人向けに分かりやすく書いたもののことです。新書や選書の形態であることも多いので、お茶大図書館の文庫本・新書の棚に行って探索するのもおすすめです。(インターネットには新書マップという楽しいサイトがあるのですが、新書という出版形態が一定の質を保証するものではないことには注意が必要です。)新書で飽き足らない場合は放送大学のテキストの棚も見てみましょう。そしてできれば同じテーマやトピックを扱っている本を複数冊読んでみます。
いくつか集めたら複数の入門書を発表された順に並べ、古いものから新しいものにかけて、繰り返し参照される理論家や研究者による書籍や論文を見つけて、次の調べ物につなげます。
じつはテーマやトピックを決めるときには、課題を仕上げるまでの時間と書き上げる文章の長さで自動的に決まるところがあります。なので、このやり方だと少し大きめのテーマにたどりつくことになります。そういうときは次のやり方はどうでしょう。
■ 1件目の文献を「ちゃんと読む」
もしも課題に取り組むにあたって文献が指定されている場合、あるいはそのテーマやトピックについて書くなら必読とされる書籍や論文が判明している場合、それを読みます。一人の著者による複数の文献が必読なら、発表年の早いものから読んでいくと理解しやすい可能性が高いです。読みきれないほどの数があるのなら、よく引用される短めのものをまずは選んでみます。
文献を「ちゃんと読む」感覚がつかめないときは、読んで書くところまで時間と字数の制限を決めて要旨を書いてみます(たとえば6時間以内で読み終えて1600字以内で要旨を書きあげるところまでやる)。要旨を書きあげたら、じつは知識がなかったり難解すぎて簡潔にまとめられず入れ込むのを諦めたり誤魔化したりした自覚のある部分はないでしょうか。そこから 文章を書く具体的なアプローチにつなげることもできます。「ちゃんと読む」作業をしたあと、あるいは要旨を書いたあとに、ブレインストーミングやフリーライティングといったアイデア出しの手法を試してみるのもいいかもしれません。
「ちゃんと読む」ときは巻末註や参考文献リストまで確認することを自分に課します。「確認」というのは少しでも疑問に思うことがあれば元の情報源にあたる、ということです。確認してみたものの、腑に落ちない、もう少し調べたい、きちんと整理して考えたいと思ったところがあれば、そのタネを育ててみます。
■ お茶大図書館の蔵書検索結果を使いこなす
じつをいうとどんな学術データベースを使ったとしても、経験の浅いうちは質の良い優れた論文を探し出すことは容易ではありません。悲しいことに質の高くない論文との出会いは当該分野の初学者にこそ起こります。使いこなすこと自体が難しい論文のデータベースと比べると大学図書館にある書籍のセレクションはずっと頼りになります(ちなみにオンライン書店の検索機能はそれ自体が研究対象でないのなら学術目的の調べ物には全く向きません)。アカデミックな調べ物があるときは何はともあれCiNii Booksを含め大学図書館の蔵書データベースを活用しましょう。
お茶大図書館の場合、検索結果の詳細の下の方に類似資料が並んでいます。レポートなどのテーマ探しの段階や、具体的に参考になりそうな文献を探しているときには、この欄にも注目してみます。
複数の著者による書籍であれば、目次の詳細も見てみます。論文集の場合、同内容のものが個別の論文として発表されていることがあります。執筆者の名前などで検索すると元の論文や類似テーマの文献が公開されていることもあるので、書籍そのものがお茶大図書館になくても論文がないか探してみましょう。
■ CiNii Booksを経由してGoogle Scholarを使う
お茶大図書館の蔵書を含め、CiNii Booksの検索機能と並行し、その検索結果から得られた著者名や書籍や論文のタイトル、キーワードを使って、 Google Scholarでも検索をしてみます。Google Scholarのよいところは標準的な検索結果表示が引用件数順なので、「ハズレ」の文献に最初に当たることが比較的少ない点です。なので、漠然と調べてそこからインスピレーションを得て書くタイプの人にもGoogle Scholarはおすすめです。
お茶大の学内ネットワークでGoogle Scholarを使うと検索結果から直接全文が読めるリンクが示されることもあります。また「引用元」の情報を確認すると、その文献を引用している論文や書籍に行き当たるので、重要な研究を批判的に継承した研究を探す場合にも便利です。ぜひ一度試してみてください。
通常の方法以外に、Google Scholarは条件を指定しての検索もあります。
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