LALA文庫のおすすめ本紹介『これから研究を書くひとのためのガイドブック』

20170626日(月)
佐渡島紗織・吉野亜矢子『これから研究を書くひとのためのガイドブック』
LALA文庫No.C8
図書館の請求記号816/Sa13


とてもわかりやすく丁寧な文章・論文執筆入門です!
「です・ます」体の柔らかい文章で、まるで先生の前でお話を聞いているかのように、肩の力を抜いて読み進めることができます。

まず引き込まれるのが「はじめに」の文章。

大学や大学院に所属して「学問をする」ということを、著者は「とてもスリリング」と表現します。
さらに、「学問をする」ことで生まれる可能性をとても素敵な言葉で私たちに伝えています(何と書いてあるかは、ぜひ実際に目を通して確認してみてください!)。
続いて、「学問をする」とはより具体的にはどういうことなのか、説明が一歩ずつ深められています。
読んでいると、「勉強(学問/研究)って楽しいことなんだな…」と理屈ではなく実感できる前書きです。

第一部の「文章編」は、著者の考える「学術的文章」の定義や必要な要素について述べた「学術的文章とはどのような文章か」の章から始まります。
語句の使い方、一文のまとめ方、構成の考え方や論点の効果的な示し方、「学術論文」として仕上げるために則るべきルールの解説とつづき、折々読者に考えてもらうための「練習問題」もついています。
「練習問題」はじっくりと取り組まなくても、なんとなく考えながら読み進めるだけでも訓練になります!

「論文編」では、「文献研究」と「実証研究」の両方が取り上げられていて、それぞれの論文作法が詳しく書かれています。
専門分野で使う研究手法はどちらか片方であると思うのですが、先行研究を調査する際には、大抵「文献研究」「実証研究」の両方に触れることになります。
普段なかなか両者の違いを意識的に考える余裕はないだけに、二つの研究の目的や進め方の違いが整理されて示されているのは大変ありがたく、私もとても勉強になりました。

立ち止まって「研究ってなんだっけ…?」と見つめ直したい時にも最良の一冊です。
学年所属年齢問わずオススメです!

これから研究

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