初歩的なレポート課題を書く(1)―小論文・読書感想文と比べてみる
2018年01月04日(木)
あけましておめでとうございます。
2018年も、LALAデスクをどうぞよろしくお願いいたします。
☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆
こんにちは。
これから、「マニュアル本を読んでも書き方に迷う」タイプのレポートの書き方を考えていきたいと思います。
いろいろなタイプがありますが、今回は、初学者向けの課題を想定して書き進める予定です。
レポート課題、と一口に言っても、字数・書式・テーマなどは様々ですよね。
指定された形式や書き方が変則的だった場合や、課題の自由度が高い場合には、どうやって書いていったらいいのか戸惑うこともあるでしょう。LALA文庫には、レポートの書き方を解説した本がたくさんありますが、それらの内容をどう応用して実際にレポートを仕上げていけばよいのか、難しいこともあるでしょう。
特に「レポートを書くこと」や「自分の考えを整理すること」自体を学ぶ段階で出る課題は、一般にイメージされるかっちりした「レポート」とは異なる場合も多いと思います。
読む文献が指定されていたり、専門書でなくてもよかったり、指定字数が少なかったり、論理的に掘り下げるというよりも自分自身が何を感じてどう思ったかを記すことが求められたり…。
高校までの作文の類とは確かに違いますが、入門編として、取り組みやすい課題の出され方がされていると思います。しかし、だからこそ「レポートの書き方マニュアル」にぴったり当てはまらずに、当惑してしまうのではないでしょうか。
高校までの作文の類と、初歩的、あるいは比較的簡潔なレポート課題を比べてみましょう。
作文にもいろいろありますが、小論文や読書感想文は、皆さん一度は触れたことがあってわかりやすいと思います。
両方とも、一定の「書き方」が決まっているものですが、小論文と感想文とでは「正解」が明確かどうかが違います。
小論文は「ここまで掘り下げられたらよく書けている」「この点を外していたらきちんと書けているとはいえない」といった判断基準がそれなりにはっきりありますが、読書感想文の場合、かなりあいまいです。
それは、小論文が論理的思考を養うことを目指すものであるのに対し、感想文は、特定の対象から想像を広げ、感性や思索など情操を育むためのものだからではないかと思います。
レポート類、特に初歩的な課題は、この両者の特性を折衷したような性質があるように私は感じています。
例えば小論文と比べれば、小論文よりもはるかに、「正解がない」あるいは、「正解の幅が広い」、あるいは、「正解と不正解の境界があいまい」なのがレポートです。小論文で問われる「論理的思考」には、「模範解答例」という教育的に定められた一応のゴールがあります。与えられた枠の中で、決められた通過点をクリアして書くことが、オリジナリティや自分らしさを主張するよりも先に大切です。
具体的には、課題に合った主題提示と、主題の内容を裏付ける根拠を述べることができているか、根拠に説得力があるか、発展性のある結論が示されているか、などです。
オリジナリティや自分らしさはプラスアルファともいえる要素で、与えられた枠にしっかり収まる形で展開される必要があります。
読書感想文は、本の内容に対してどう感じたのか、何を考えたのか、自分のどのような体験が想起されたのかなど、自分自身が本によって受けた影響について、体験的に書くものです。一般的な「正解」はありません。
もちろん、一定の説得力を持たせるために、文章に論理的な組み立てがあるのは望ましいことですが、まず大切なのは、自分自身の主観的な体験を掘り下げて整理して書くことです。本の批評などではなく、読書によってどのように成長期にある自己の内面が揺さぶられ、どのように変化が起こったのかを生き生きと書き出すことが期待されています。
もし読書感想文の質を問う場合に判断基準があるとすれば、ある特定の本を深く読み込んだ時に、誰もが至るであろう思索の地点のようなものに、辿り着くかどうか、とでもいったところでしょうか。
レポートは、「論理的な思考」やそれに伴う「説得力」が重視されるため、読書感想文よりも、書き出すことが求められている内容の範囲は限定的であると言えます。しかし、何かにとらわれることのない自分なりの視点を持ち、思索を深めることで「自分らしさ」や「オリジナリティ」を出すことが必要であることは、読書感想文と共通するものだと思います。
長くなってしまいましたが、レポートでは、
・小論文で課されるような、「論理的思考に基づいて、テーマに沿った、説得力のある文章を仕上げること」
・読書感想文で課されるような、「柔軟な視点を持ち、自分なりの思索を深め、課題に対してオリジナリティのある向き合い方をしてきたことを文章で表現すること」
この両方が求められるのではないかと考えます。
出発点は、柔軟な視点や自分なりの思索。ゴールは、課題に対する論理的な追究と文章化、とまとめることも可能かもしれません。
続きます。
#みあ
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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆
こんにちは。
これから、「マニュアル本を読んでも書き方に迷う」タイプのレポートの書き方を考えていきたいと思います。
いろいろなタイプがありますが、今回は、初学者向けの課題を想定して書き進める予定です。
レポート課題、と一口に言っても、字数・書式・テーマなどは様々ですよね。
指定された形式や書き方が変則的だった場合や、課題の自由度が高い場合には、どうやって書いていったらいいのか戸惑うこともあるでしょう。LALA文庫には、レポートの書き方を解説した本がたくさんありますが、それらの内容をどう応用して実際にレポートを仕上げていけばよいのか、難しいこともあるでしょう。
特に「レポートを書くこと」や「自分の考えを整理すること」自体を学ぶ段階で出る課題は、一般にイメージされるかっちりした「レポート」とは異なる場合も多いと思います。
読む文献が指定されていたり、専門書でなくてもよかったり、指定字数が少なかったり、論理的に掘り下げるというよりも自分自身が何を感じてどう思ったかを記すことが求められたり…。
高校までの作文の類とは確かに違いますが、入門編として、取り組みやすい課題の出され方がされていると思います。しかし、だからこそ「レポートの書き方マニュアル」にぴったり当てはまらずに、当惑してしまうのではないでしょうか。
高校までの作文の類と、初歩的、あるいは比較的簡潔なレポート課題を比べてみましょう。
作文にもいろいろありますが、小論文や読書感想文は、皆さん一度は触れたことがあってわかりやすいと思います。
両方とも、一定の「書き方」が決まっているものですが、小論文と感想文とでは「正解」が明確かどうかが違います。
小論文は「ここまで掘り下げられたらよく書けている」「この点を外していたらきちんと書けているとはいえない」といった判断基準がそれなりにはっきりありますが、読書感想文の場合、かなりあいまいです。
それは、小論文が論理的思考を養うことを目指すものであるのに対し、感想文は、特定の対象から想像を広げ、感性や思索など情操を育むためのものだからではないかと思います。
レポート類、特に初歩的な課題は、この両者の特性を折衷したような性質があるように私は感じています。
例えば小論文と比べれば、小論文よりもはるかに、「正解がない」あるいは、「正解の幅が広い」、あるいは、「正解と不正解の境界があいまい」なのがレポートです。小論文で問われる「論理的思考」には、「模範解答例」という教育的に定められた一応のゴールがあります。与えられた枠の中で、決められた通過点をクリアして書くことが、オリジナリティや自分らしさを主張するよりも先に大切です。
具体的には、課題に合った主題提示と、主題の内容を裏付ける根拠を述べることができているか、根拠に説得力があるか、発展性のある結論が示されているか、などです。
オリジナリティや自分らしさはプラスアルファともいえる要素で、与えられた枠にしっかり収まる形で展開される必要があります。
読書感想文は、本の内容に対してどう感じたのか、何を考えたのか、自分のどのような体験が想起されたのかなど、自分自身が本によって受けた影響について、体験的に書くものです。一般的な「正解」はありません。
もちろん、一定の説得力を持たせるために、文章に論理的な組み立てがあるのは望ましいことですが、まず大切なのは、自分自身の主観的な体験を掘り下げて整理して書くことです。本の批評などではなく、読書によってどのように成長期にある自己の内面が揺さぶられ、どのように変化が起こったのかを生き生きと書き出すことが期待されています。
もし読書感想文の質を問う場合に判断基準があるとすれば、ある特定の本を深く読み込んだ時に、誰もが至るであろう思索の地点のようなものに、辿り着くかどうか、とでもいったところでしょうか。
レポートは、「論理的な思考」やそれに伴う「説得力」が重視されるため、読書感想文よりも、書き出すことが求められている内容の範囲は限定的であると言えます。しかし、何かにとらわれることのない自分なりの視点を持ち、思索を深めることで「自分らしさ」や「オリジナリティ」を出すことが必要であることは、読書感想文と共通するものだと思います。
長くなってしまいましたが、レポートでは、
・小論文で課されるような、「論理的思考に基づいて、テーマに沿った、説得力のある文章を仕上げること」
・読書感想文で課されるような、「柔軟な視点を持ち、自分なりの思索を深め、課題に対してオリジナリティのある向き合い方をしてきたことを文章で表現すること」
この両方が求められるのではないかと考えます。
出発点は、柔軟な視点や自分なりの思索。ゴールは、課題に対する論理的な追究と文章化、とまとめることも可能かもしれません。
続きます。
#みあ